日本列島縮小改革をどう進めるべきか
一昨日(10月9日)の日経新聞電子版に「『国土縮小計画』の覚悟を 2050年へ新たな国造り」というタイトルの記事がありました。たいへん興味深い内容がありましたので、必要な箇所を引用しつつ、この問題にふれたいと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50751160Y9A001C1TCR000/
まず、この問題を扱うのは「国土交通省の国土審議会」です。 「月内にも、2050年までの国土の姿を描き直す作業を始める。1キロ四方に区切ると、50年には住む人がいなくなる地域が全国の2割近くになる。これを前提に2年かけて長期展望をつくり、次の国土計画に反映させる」というものです。
焦点は、人の住まなくなった土地をどう管理していくか、これについては、前回、6月の審議会でも対策案の資料が配布されていますので、少し勉強して明日以降に要点をまとめます。ともかく、法改正も含め、その対策は進みつつあります。
「人のいない地域はぽつんぽつんと空くスポンジの穴のように増える。住民への配慮から思い切った集約に踏み切れない首長や、集約をうたう一方で郊外の住宅建設を認める自治体が少なくない」としています。なかなか、転居を勧めたり、思い切った施策は打ち出しにくいもののようです。 「インフラの維持は限界に近く、人が住む国土の縮小は避けられない。社会保障改革と同様、国の持続に必要だとメッセージを発し、国民的合意を取り付けるのが政治の役割」という主張にも頷けます。
田中角栄首相の日本列島改造論に代表されるように、政治が国土計画に推進力をもたらし、人口増加に伴う宅地開発などの改造によって利益を分配する景気拡大の時代が長く続きました。これからは、そうはいきません。
従来の路線の延長で、新築への手厚い税優遇が続いています。その背景には「新設住宅」は景気対策の側面があり、優遇政策をやめると、不動産業界への影響があるようです。
過去は過去です。むだな税金の優遇措置を投入してまでの、新設住宅は「社会悪」と言わないまでも考えるときにきているように思います。新聞記事では、ドイツの事例が紹介されており、「ドイツは住宅政策を新築から中古にシフトし新築業者が苦境に陥った。だがリフォームが盛んになり、建物の資産価値は日本のように25年でゼロにはならない。日本も首都圏のマンション販売は中古が新築を上回るようになった。若い人は新築にこだわらない。住宅政策を転換する時機だ」と主張しています。
「ぽつんと一軒家」のような山間部に取り残されたような地域で生活している方々を、医療や福祉のサービスなどと抱き合わせで、半ば強制的に都市部に集中して移転させることができるかどうか。しかも、ピカピカの新築住居ではなく、リフォームした都市部の中古住宅に移ってもらうことができるか。
大きく国民の価値観を変えるキャンペーンが必要なのかもしれません。
不動産業関連の「士業」も、来るべき居住すべき「国土縮小」の時代に備えて、果たす役割を変えていく必要があるように思えます。