入管の申請取次業務を行政書士試験の必須科目にしてはどうか

先週末に東京で入管関係で本人に代わって申請の取次ができる「申請取次」の資格を得るための講習に会場が満席になる600人もの行政書士の方が参加されたとのことです。講習の最後に「効果測定」という試験がありますが、事前の勉強をきっちりされた皆さんは無事に大量に有資格者となるものと思います。おめでとうございます。

税理士が税務署に提出する書類をもっぱら扱うように、私は、この際、すべての行政書士が入国管理局に提出する書類を扱うような制度になるのが望ましいと思います。今と何が違うかといえば、

・現状;①行政書士になる⇒②申請取次の講習を受ける⇒③ピンクカード交付

・理想;①行政書士の要件に入管業務や申請取次の知識が含まれる⇒②合格と同時

にすべての行政書士が申請取次業務を行うことができる

今は、勉強をやめておりますが、土地や会社の登記が専門の司法書士の場合、学習する内容がもっぱら、登記の際に必要になる書類や手続きについてです。「このケースの場合、印鑑証明がいるのか要らないのか」というような、その状況になればマニュアルをみて当然に判断できることを、ことさら覚えさせ、試験で回答させます。

一方、行政書士の場合、扱う範囲が広いということを理由に、行政書士を名乗るにふさわしい、憲法・民法や行政法に関する知識や素養を身に着けているかということで合否が決まる仕組みになっています。税理士や司法書士のような実務に直結する科目はありません。

それがたいへんもったいないことだと思います。今後、爆発的ともいえるくらい大量の外国人を受け入れ、すべての業種といっていいほど、あらゆる場面に働き手として外国人材に頼る方向に国はギア・チェンジしたので、それをもっぱら扱うことを行政書士の本分に決めていいのではないかと思う次第です。

もちろん、外国人が訴訟を起こしたり、税金を納めたり、土地の登記をしたり、日本人と同様、様々なニーズが出てきます。それぞれ、弁護士、税理士、司法書士が行えばよろしいわけですが、入国と在留資格の申請や結婚・出産などの身分上の変化に伴う変更申請はすべての行政書士がもっぱら行うことができる、という制度のイメージです。

行政書士は全国で毎年、5千人ほどの方が合格されます。増え続ける外国人の手続きを円滑に進めるためには、そのような取次をする役割を行政書士が全員であたっても、まだ足りないのではないかと思う次第です。

さらに、理想を言わせてもらうと、「入国審査は裁量の余地が大きい」ことは承知の上で、その手続きはできるだけデジタル化し、わざわざ「出入国在留管理局」の窓口に出向かなくても、ネット上で申請できる、あるいは、コンビニで受付ができる、というようなものにならないかと思います。できないことではないと思うのですが。

写真は、2018年度、伊藤塾の合格祝賀会風景です。