技能実習で日立製作所に改善命令 2019/09/06 16:16
この記事に関しては、タイトルを読んだだけで、ほぼ内容が理解できると思います。
https://news.goo.ne.jp/article/nhknews/politics/nhknews-10012066811_20190906.html
「日立製作所は事前に提出した実習計画では、配電盤などの組み立て作業をさせることになっていたフィリピン人の技能実習生およそ40人に対し、新幹線の車両の窓枠をはめる作業など計画とは異なる作業をさせていた」ということで、 「法務省と厚生労働省は、日立製作所に対し計画に沿った実習を行うよう改善命令を出した」というものです。
1.甘くないか
「実習計画の認定が取り消されると、ことし4月から始まった外国人材の受け入れ拡大の新たな制度でも「特定技能」の在留資格を取得した人の受け入れが、今後5年間停止されることになる」というのが本筋のところ、法務省と厚生労働省の判断は、その必要はなく、「改善命令」だった、ということです。計画に沿った実習を行わせることになれば、そのまま継続という、たいへんゆるい措置に思えます。
2.今、起きた事件ではないこと
さらに、注目したいのは、日付です。 記事のなかにも触れられていますが、これは、1年前に発覚していたものです。すでに、2018年8月23日の記事が、まったく同じ内容の不正があったことを報道しています。「日立、外国人技能実習で不正疑い 笠戸事業所、法務省が検査 目的外の作業に従事 山口 2018.8.23 11:59」
https://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/180823/lif18082311590018-n1.html
処分に、1年もかかるのか。その間、実習生はどう扱われていたのか気になります。
3.在留資格の手続きについて
同じ事業所の記事は昨年の10月にも報じられています。
https://www.asahi.com/articles/ASLBM5K0HLBMULFA01M.html
この時は、20人の実習生について、「20人の在留資格が技能実習から短期滞在になり、近く日本を出国せざるをえなくなったことが解雇の理由だと日立は説明している」とあります。 「笠戸事業所では実習生に目的の技能が学べない作業をさせている疑いがあり、国の監督機関「外国人技能実習機構」から2年目以降の実習計画の認定が得られていない。このため、技能実習生として在留できなくなった」という在留資格の問題があります。
解説を加えると、
◆実習計画と異なることをさせたのは日立
↓
◆その結果、実習生に目的の技能が学べない作業をさせていることが発覚
↓
◆国の監督機関「外国人技能実習機構」から2年目以降の実習計画の認定が得らない
↓
◆就労できる「技能実習生」から就労が禁止されている「短期滞在」に資格が変更
↓
◆日立が解雇
記事には「経団連会長を務める日立の中西宏明会長は「違法を避けるために、とりあえず解雇した」とあります。つまり雇用し続けると就労資格がない労働者に仕事をさせたことになるので違法行為にあたる。だから「とりあえず解雇した」と。
罰せられるべきは日立の側であるのに、結果として実習生が解雇に至り、退去強制の措置になる。当事者の日立は改善命令だけというのはどうなのでしょう。
複雑な入管業務について、いろいろ学びたいと思います。