しかし実態は? 「外国人が担当するのは、金属を溶かして鋳型に流し込む作業です。夜勤もあり、危険も伴う作業です。韓国人からの応募はないに等しく、仮にあったとしても、すぐに辞めていきます」-そういう背景もあり、 「韓国の不法滞在者の数は約35万5千人。査証免除や観光ビザで入国して違法に滞在するケースが多いと見られるが、雇用許可制で入国した外国人も、年間約9500人(2018年)が新しく不法滞在者になっている。」とたいへんな事態になっているようです。 この「雇用許可制」は「労働契約が単年ではなく、最長3年になり、雇用主の立場が強くなりました。転職には雇用主の許可が必要で、認められなければ、黙って働くか、失踪するしかありません。1年であれば劣悪な環境でも我慢して、転職に望みをつなぐことができましたが、3年となると難しい。3年後に雇用延長できるのも、元いた会社に限られるため、長く働きたい外国人は自分の意見を言いづらいのです」
結果、「失踪する外国人が後を絶たない」ということになってしまうようです。 記事によれば、暴力や暴言などのトラブルもある。トラブルを起こす企業の特徴は「社員が10人以下の個人商店のような会社です。農林や畜産など、労働法をきちんと守らないケースが多い。労働者が転職を願い出てもそれに応じず、そのため、失踪する外国人が後を絶たない」とのこと。
図式はこうなっています。 日本(1981年)「技能実習制度」⇒韓国(1991年)「産業技術研修制度」 韓国(2004年)「雇用許可制」 ⇒日本(2019年)「特定技能制度」
一定の要件が必要ですが、日本も単純労働に大量に外国人を受け入れる制度として「特定技能制度」を導入し、今年が初年度となります。毎年、1万人もの外国人労働者が職場から「失踪」しているという韓国の実情は、貴重な「先行事例」として、大いに学ぶ必要があるものと思います。