行政手続きの簡素化;地方の取り組み

手続法行政手続きについて、ITを活用した簡素化などの様々な取り組みが計画されていることを新聞報道などで目にすることがあります。その多くは中央官庁を対象にするものですが、実際には都道府県などの地方自治体の取り組みまで浸透しているのか気になるところです。 そんな心配ごとは無用と感じさせるレポートがありました。 北海道庁の「申請手続の簡素化に関するガイドライン」と題する、平成30年9月のもので、北海道庁のなかの組織と思われる、「総務部行政改革局行政改革課」というところがまとめたものです。http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/gkk/housintou/shinseitetudukigaidorain.pdf

国の「日本再興戦略2016」(平成28年6月2日閣議決定)を受けた取り組みであることが明記されています。 以下の表に示されるように、国が主導で各方面の行政手続きのIT化による簡素化に取り組むことが地方にも波及することを踏まえて、このレポートは地方として取り組みべきテーマを絞って調査検討しています。

表が多くなって恐縮ですが、道庁が扱う申請手続きの主なものの件数を3年間の統計処理しています。

申請件数の多いトップには、「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」という北海道特有のものがあがっているほか、「道路交通法」、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」などが続きます。行政書士が得意とする手続きに関するものです。「旅券法」、「生活保護法」、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」などもあがっています。これらの「許認可」手続きですね。

行政手続きに関する負担又は不満を解消すべき改善策に関してのアンケート結果があります。

「①手続きの電子化」、「②一度提出した資料は、再び提出する必要がない仕組みづくり」、「③書式・様式の統一」といった項目が上位にきています。

これを受けて、実際にどのような施策によって行政手続きが申請者にとって簡素になるのか、対応する役所の処理時間削減をパラメータにした検討が行われています。

「行政手続き法」や「行政不服審査法」などでみてきた内容が具体的に分析されている状況を垣間見ることができ、国と地方が連動して、従来の手続き方法や書式、手順を変革する取り組みが行われているようです。具体的な目に見える成果となって現れることを期待したいと思います。