2020年の企業倒産件数について
ひとつ、理解が難しいデータがあります。
東京商工リサーチが公表している、2020年(令和2年)の全国企業の倒産件数です。
1年間で倒産した会社の件数については、
・2020年;7,773件
・2019年;8,383件
ということで、昨年2020年は前年比で、610社、7%も倒産件数が減少しています。
負債総額では、14%も下がっています。
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/yearly/2020_2nd.html
昨年は、年間を通じたコロナ影響がありましたので、飲食業や旅行関係、ホテル・旅館などの倒産が相次ぐのかと危惧しておりましたが、実際は、全く逆の結果となっています。倒産件数は、「50年間で4番目の低さ」という点も驚きです。
なんでこういう結果になるのかに関して、政府のつなぎ資金融資が一定の効果をもたらしていて、それが途切れると倒産件数が増大するのではないかという見方もあります。
本当にそうなのかどうか。
先日、大学生の中退者のデータも2020年は減少していました。コロナ影響でアルバイトなどもできない状態なので、学費が続かず中退者が大勢出るものという予想があったことと正反対の結果でした。これも奇妙なデータでした。
昨年、一定程度、経済が停滞していたのは事実だと思います。私見ですが、企業が倒産するのはそういう局面であなく、大きな商いが活発に行われているときに、その波に乗れずに、あるいは過剰な投資をしてしまって、裏目に出るというようなケースが多いのではないか。逆に、世の中が停滞していると、大きな投資ができない代わりに、失敗する事例も少ない、結果として企業の倒産件数が例年を大きく下回った、ということではないかと推察しています。
ただし、このようなマクロな集計とは無縁に、それぞれの企業にそれぞれ個別のご苦労もあろうかと思いますので、このデータによって「安心できる」ということにはならないと理解しています。さらに推察できることは、会社は倒産しなくとも、存続させるために失業者は増加しているに違いないということかと思います。
ともかく、マクロな予想というものははずれることがあるのだということだけ認識しておきたいと思います。
(公開されているスタジオジブリの「思い出のマーニー」からイラストをいただきました。本文とは関係ありません)