建設業後継者問題とコロナ影響の関係
やはり緊急事態となりました。実は、外国との交流も一切閉ざすという事前の報道もあったのですが、首相の意向でビジネス関係の入国規制緩和は続けるという情報もあり、この件は微妙なので、本日は触れないことにします。
気になるタイトルの記事がありました。1月6日付、東洋経済です。
「建設業、深刻さを増す『後継者不在』の複雑背景。コロナ禍で経営存続をあきらめる企業が続出」というものです。
https://toyokeizai.net/articles/-/401302
詳しくは記事を読んでいただければと思うのですが、飲食業やイベント関係はコロナ影響で相当売上が落ちていると感じていた一方で、建設業はそれほどのダメージを受けていないのではないか、と楽観していたため、記事のタイトルが意外でした。
「業種別にみると、建設業の後継者不在率がもっとも高く、70.5%だった。建設業の後継者不在率が70%台となるのは6年連続で、2020年調査では全業種で唯一の70%台となった。」
グラフを添付できないのですが、たしかに、後継者不在率が69%の製造業を抜いて、建設業が上にきています。ただし、そもそも「帝国データバンクが2020年11月末にまとめた2020年の「後継者不在率」動向調査によると、事業承継の実態について分析可能な約26.6万社(全国・全業種)のうち、全体の65%に当たる約17万社で後継者が不在であることがわかった。」ということなので、どの業種もたいへんなようです。
記事を読み進むと、苦労して起業した社長が職人気質で経営者として2代目の育成に手が回っていないなどの理由が並べられており、コロナ影響となかなか結びついていきません。
ようやく、最後のほうで、「今後気になるのは、建設業の事業環境が厳しさを増していることだ。2019年までは東京五輪関連などの大型工事が相次いでいたが、2020年は一服し、新型コロナウイルスで民間工事の延期も続出した。売り上げ確保を焦るスーパーゼネコンも、工事高10億~50億円程度の小型工事にまで手を出すようになった。」ということが展開されています。
なるほど、そもそも、東京五輪関連で東京都内のあちこちで運動施設に限らず高層ビルの工事が進められているのをよく目にしますが、それが一服する時期と、この新型コロナウイルスによる景気の悪化が重なるというだけのことと理解しました。
後継者問題は国土交通省も問題認識しており、事業継承が容易になる方向で建設業法の改正なども行われているところです。ちょっと、この記事は、なんでもかんでもコロナ影響にくくってしまっている点がおそまつな印象でした。
(公開されているスタジオジブリの「ゲド戦記」から画像をいただきました。本文とは関係ありません)