進むデジタル化について

昨日、今回の首都圏の「緊急事態」は前回と比較して閉塞感がないという感想を書きました。

背景はいろいろ考えられます。マスクは出回っていますし、スーパーも今のところ買いだめに走る人はおらず、品物は潤沢にあります。飲食店に行くにしても、「4人以下」、「お酒は20時まで」ということを守れば制約はゆるいものです。

それに加えて、一般の会社の出勤率を3割程度にしなさい、という点に関しても、インターネット環境下での在宅勤務やリモート会議が普通に行われるようになり、無意味な出張や対面での打合せがなくなり、時間に余裕を持てるようになりました。

状況変化を前向きに消化していくという点で、私は日本人の良さではないかと感じているところです。

また、全国民一律に10万円を支給するという「定額給付金」を届けるのにたいへん手間取ったことや、書類に印鑑を押すために会社に出社しなければならないというお笑いコントのような場面が切り取られ、一気に、行政手続きから印鑑を無くするというムーブメントが加速したことも、状況変化を前向きにとらえた動きだと理解しています。

今、成果として見えているのは、どの省庁も行政手続きから無意味な押印欄を無くするという同時進行の動きです。つまり、「赤い色の印鑑」や「手書きのサイン」は、行政手続きをデジタル化する際の、大きな障害になるものです。これを無くすることができそうなことは、たいへん大きな前進だと思います。

新型コロナ対策で新たな産業育成のための投資をするとしたら、一つは「デジタル」の分野だと政府が判断しています。紙の申請書を無くするということは、削減のようでいて、それにかわる「デジタル」な仕組みの構築や入出力の道具立てが不可欠です。

政府が一所懸命に携帯電話の料金の引き下げに口出ししているのは、その流れだと思います。行政手続きの全面的なデジタル化のためには、国民の大半の人がスマートフォンを持つようになること。

税金の確定申告が、青色申告であっても、自宅でスマホから完結できるようになっています。スマホとマイナンバーカードの組み合わせは、たいへん大きな効果をもたらすものです。

この確定申告自体は、1種類の行政手続きに過ぎませんので、うまくデジタル化を進めることができたようです。「印鑑」の次に、行政手続きのデジタル化で障害になるものは、「証明書」の類です。戸籍謄本、住民票、納税証明書、その他の窓口で出してもらって紙で提出する「証明書」全般です。どこかの別の役所のなかに、今は「デジタル情報」として格納されているものが、ほかの申請の際に、紙媒体として耳をそろえなければ完結しないという不条理。役所間で連携を図ることができれば、申請者が伝書鳩のように紙を持ち運ぶことは不要になるという類のものです。

これが片付けば、行政手続きというものは、スマホやタブレット端末の上で、必要なチェック項目を選択するだけで送信可能になるように思います。

現下のお政治経済は、幸いなことに一部を除けば停滞していないということなので、ぜひ、デジタル化が、このタイミングで大きく前進することに期待したいと思います。

(公開されているスタジオジブリの「ゲド戦記」から画像をいただきました。本文とは関係ありません)