コロナ後;デジタルな自治体とは
新型コロナ対応でも、ずいぶん各地方自治体の職員の皆さんはご苦労されたことと思います。休業要請に関連する要望は一律ではなく、様々な問い合わせに対応する必要があったことと推察します。そこに必要なことは、複数の部署が異なる職員の方の間の認識の一致や迅速な意思決定かと思います。
新型コロナ対応は一つの典型的な事例だとして、地方自治体は、やるべきことが定式化されている国の行政代行ではなく、それぞれの地域の事情や特色も考慮して住民にサービスを提供する責務があるので、たいへんなことだと思います。
「進展する自治体デジタルシフト」と題する、こんな記事を目にしました。
「ビジネスチャットが行政業務を刷新 ICT活用で行政サービスの質向上」(兵庫県伊丹市、千葉県市川市、埼玉県北本市)
なるほど、「チャット」ですか。IT系の会社をはじめ、海外はもとより国内でもさまざまな企業で利用されている、「社内チャットツール」のデファクトスタンダードとも言えるSlackをイメージしました。
行政機関内は一般のインターネット環境を利用すると情報漏洩やハッキングのおそれがありますので、総務省が音頭をとって、独自の通信環境ができあがっています。「LGWAN」の環境です。今回、紹介されているものは、そのLGWAN環境でも、インターネット環境からでも使える自治体専用のビジネスチャット『LoGoチャット』の登場というものです。
*ちなみに「LGWAN」:総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network)
行政内部の情報紹介や意思決定は「LGWAN」のなかで、そして、住民からの問い合わせに対する回答は、通常のインターネット環境で。その両方で使える「ビジネスチャット」ということです。これは便利な道具に違いありません。
「時間や場所に制約されず情報の発信と共有ができるので、報告・連絡・相談が滞りません。また、古いやりとりが次々と流れてしまう電子メールよりも、テーマ毎に履歴が蓄積されるチャットのほうが後からキャッチアップしやすく、必要な情報を探すのも簡単でした」と紹介されています。
少し長くなりますが、活用事例を記事から、そのまま引用させてもらいます。
◆コロナ禍での自治体におけるLoGoチャット活用事例
1.庁内・課内の情報共有
・ 執務室分離や在宅勤務に伴い、職員同士のコミュニケーションが取りにくい状況で、対面会議や打ち合わせをLoGoチャットで実施。
・ 出勤連絡用ルームを作り、子供の送迎や家族の状況などによる遅参連絡や、体調不良時の対応フローの共有。
2.迅速な意思決定の支援
・ 対面を避けるため、コロナ対策チーム連絡用トークルームを作成し、施策検討から迅速な意思決定。新型コロナ対策本部会議もLoGoチャット会議を採用。
3.全国の自治体とつながるコミュニティ
・ 迅速な対応が求められる中、他自治体の状況などをユーザー専用のトークルームで情報共有。国の動向や支援施策への対応状況の共有に加えて、WEB会議システム等の活用方法などテレワークに備えたデジタルの活用事例を共有。
残念ながら、ここで紹介されている事例は、主に、行政内部の情報伝達や意思決定に関するものです。
このツールが本来持っている、「LGWAN」のなかでも、住民との間の通常のインターネット環境下でも活躍する事例が今後、増えてくることを期待したいと思います。
(写真は、TicTacさんによる「写真AC」からいただきました)