厚生労働省の「成果連動型民間委託(PFS)」とは?

2020年2月3日、都内で内閣府主催による「PFSセミナー」が開催されました。
「成果連動型民間委託(PFS)」とは、Pay for Successのことで、「行政の民間委託契約で、事業の成果に応じて支払額が変動するものをいう。成果目標をあらかじめ定め、その達成の度合いなどを評価し、支払額を決定する。」とされています。
各省庁がアクションプランを2019年度中に策定することになっており、そのなかで、厚生労働省の施策をみてきたいと思います。

これまでも3年間モデル事業として実施してきたなかで、「成果指標や支払い条件について検討・設定する自治体の負担や、適切な成果指標の設定と成果の評価を行うためのエビデンスの不足など」の課題が浮き彫りになってきたことも踏まえ、

・アクションプラン策定やガイドライン作成を進める

・2020年夏までにこれまでのモデル事業の成果などを整理した事例集を作成

・既存の国の施策についてPFSの考え方を取り入れる制度の構築について引き続き検討

としています。新しい分野だけではなく、既存の施策についても、民間に委託し事業の成果に応じて支払い額を決定するような仕組みを取り入れていくという方向性です。

具体的な分野として、

・2020年度予算案で国民健康保険の保険者努力支援制度には約1400億円を計上、2019年度の912億円に対して約500億円の増額

・介護保険のインセンティブ交付金は2019年度の200億円に対して400億円へ拡大

ということが示されています。事例集として進んだ自治体の個別具体的な取り組みがいずれ公表されるとのことですので、いずれ、それが全国に展開されていくものと思われます。
なお、並行して、民間委託でも「SIB」というものがあります。これは、同じように「成果連動型民間委託」ですが、国や自治体の資金ではなく、資金を民間投資家から調達するものを指し、「ソーシャル・インパクト・ボンド」の略です。

行政の施策を各行政庁の職員のみによらず、民間に委託することを通じてサービスが多様化されることによって内容が充実していくことは歓迎すべきことかと思います。このような分野に関わりをもつことができるかウォッチしていきたいと思います。

(写真は、acworksさんによる「写真AC」からいただきました)