政府のデジタル・ガバメント実行計画;行政手続きの9割が電子化されるとは・・
少し、足元のことについて。
12月20日に開催された「デジタル・ガバメント閣僚会議」で、行政手続きを電子化していく計画が閣議決定されました。現在、様々な行政手続きがありますが、それの9割を電子化していくというものです。
手始めに、求人・求職や旅券(パスポート)の申請など約500の手続きの電子化に向けた工程表が示されています。
「すぐ使えて」、「簡単」で、「便利」な行政サービス」を目指すものです。
⇒これは大事です。手続きが電子化される=便利になるかといえば、そういう意思をもって制度を作らないと、今までは簡単な手書き伝票1枚で済んでいたものが、パソコン上から面倒なID登録やパスワード設定をして、いくつものチェックを経て、やっと希望する申請項目を提出することができる。また、紙の場合と違って、何を申請したのか、あとで不安になる、というようなことがけっこうあり得ます。
「利用者にとって、行政のあらゆるサービスが最初から最後までデジタルで完結される行政サービスの100%デジタル化の実現」
⇒最初から最後まで、ということも重要です。受付は電子化されても、不備があった場合に、窓口に呼び出されるのであれば、便利になったのかどうかわかりません。デジタルで完結する、ということになれば官庁に出向かなくても済むわけです。
「利用者の違いや現場の業務の「ばらつき」まで詳細に把握・分析する業務改革(BPR)の徹底、フロー図等の作成による行政サービス全体のプロセスの可視化」
⇒つまり、承認・認可されるまでのお役所の担当官の「裁量」の幅を無くする取り組みと読みました。担当官によってスムーズに片付いたり、逆に、細部でクレームがついたりという「ばらつき」があってはたまりません。
このように、「デジタル化」を本気で進めるためには、単に、申請書類の受付を電子申請に変えるだけでは、全く不十分で、申請項目の内容に立ち入り、記載すべき項目が多すぎないか、本当に必要なのかどうか、添付書類はそこまで要るのか(本当に担当官が全部に目を通しているのか)、採否の基準はコンピュータが判断できるくらいYes/Noの分かれ目が明確になっているのか(あるいは、「機械的」すぎないか)といった、行政手続きの内容に深く踏み込んだ改革が必要になるものと思われます。もっとも、ゴールを目指して「走りながら考える」という余地はあるのかもしれませんが。
今回は、「デジタル化」の閣議決定の冒頭の部分のみを見てきましたが、まだまだ、詳しく内容を理解していく必要があるものと思います。続きます。