政府のデジタル・ガバメント実行計画;行政手続きのワンストップ化について

国内で行政が関わる手続きは約4万6000種類あるそうです。そのうち電子化されているのはまだ約5000の項目、つまり1割強にすぎません。
政府は、「国、地方公共団体、民間事業者、国民その他の者があらゆる活動においてデジタル技術の恩恵を受け、安全で安心な暮らしや豊かさを実感できる社会を実現するため、国、地方公共団体、民間を通じたデジタル・ガバメントを推進し、行政の在り方をはじめ社会全体をデジタル化」ということを柱にした、「デジタル・ガバメント」を目指すことを12月20日に閣議決定しました。ここ数年のうちに、行政手続きがいろいろ変革されていくことと思われます。

それを進めるにあたって重要なカギとなるのが「行政手続のワンストップサービス」だとされています。聞きなれない言葉ですが「ワンストップサービス」とは、どういう手続き体系を目指すのかをみていきたいと思います。

そもそも、行政手続きの数が多く煩雑なのは、各省庁によって異なる手続き書類が必要であり、その都度、申請の際に添付する書類を求められるというところに原因があります。現状は、例えば、総務省、厚生労働省、文部科学省、国土交通省などが受け付けた書類を個別に保管しています。その垣根を取り払い、国や地方公共団体が保管しているデータを一元管理することが必要です。それが進めば、例えば、一度、何かの申請の際に、「住民票、印鑑証明書、納税証明書」をセットにして窓口で提出したとすると、マイナンバーにひもついて関係づけられることになり、全く別の手続きの際に、同様な書類の提出が必要になったとしても、添付書類を用意する必要がなくなることを目指すものです。

段階を踏んでそのような環境が整備されていくことになるのですが、例えば、マイナンバーカードを病院で提示すれば、わざわざ、「健康保険証」を差し出す必要がなくなります。総務省と厚生労働省間のデータ連携ができていればわかることだからです。

2021年3月からは特定健康診査(メタボ健診)の情報、同年10月からは過去の投薬履歴をマイナンバーのサイト「マイナポータル」で見ることができるようにするというような具体的な工程が練られています。

住民票を移転した場合、その情報が電気やガス、水道の契約にも転用され、あらためて、ガス会社や水道局に住所変更を申し出る必要がないという仕組みは本年度中に仕上がる予定です。かなり便利になります。

このような点は、個人個人がインターネットに接続していなければできないということではなく、あくまで、政府内の電子化による成果物だという点を理解しておく必要があると思います。

さらに、その「政府の電子化」の成果を享受するためには、どうしても「マイナンバーカード」をそれぞれが持つこと、「マイナンバーカード」の普及が不可欠になります。この「マイナンバーカード」に関しては、別の機会に発展する姿とともに課題もみていきたいと思います。