建設キャリアアップシステム;外国人技能者にとっても必須

人材不足により、すでに、介護や食堂さらには建設現場にも外国人労働者が活躍しています。特に、介護の分野は、先行してフィリピンやマレーシアなどの国との協定を結び優秀な人材を受け入れる仕組みを作りつつあります。

建設業においては、数年来、「技能実習」の制度で外国人を受け入れてきました。実習とは名ばかりで、いわゆる「3K」の仕事に外国人を使っている、帰国できないようにパスポートを取り上げて缶詰にしている、さらには現場から逃亡する外国人が後を絶たない、などのマスコミの報道に取り上げられているほど評判がいまいちの制度です。令和元年から「特定技能」の制度が開始されましたが、それに伴って「技能実習」の制度が廃止されるわけではなく、制度は併存するようです。日本で働く外国人にとって、必ずしも、「大学で学んでホワイトカラーとして働いて日本に定住する」というコースばかりが「理想」ではなく、「数年働き、母国に仕送りをして、まとまったお金がたまったら帰国する」というコースを選択する人もいるでしょうし、人それぞれだと思います。

制度上、「技能実習」の労働者は「最低賃金」を守ればよいのに対して、「特定技能」として申請して認可されるためには「同業種の日本人と同等以上」の賃金でなければならないという大きなギャップがあります。

雇用する側は、面倒な手続きが多い「特定技能」よりは、従来型の「技能実習」を希望するという会社が半分以上を占めているという調査結果もあります。まだまだ、「技能実習」の制度は続くものと思われます。

在留資格の申請取次を行う行政書士の立場としては、あくまで本人の希望が通ることを支援するものですが、これまでの悪弊を払拭して、この「技能実習」の制度も雇用する側がコンプライアンスを重視して、健全な運用に向かうことを期待したいと思います。

そのような方向性に応えるものになる思われますが、日本国中の日本人・外国人を問わず、すべての建設現場の技能労働者に、一人1枚、「建設キャリアアップカード」というものを持たせて、スキルと処遇を見えるようにする制度が始まっています。令和2年度から技能実習生にも適用されることになります。

様々な解説記事や運用マニュアルの書籍も出ておりますので、少し、この制度について深堀していきたいと思います。