入管は裁量の余地があるので新たな事例を開拓するということ

先日、入管分野の第一線でご活躍の先生による「国際業務ベーシック研究会」で得た情報について。

在留資格の審査は裁量の余地があるということになっているため、申請しても却下されるケースが生じます。そのため、何が問題だったのかを質す目的で、審査官が内部で使っている「ガイドライン」という資料を定期的に情報開示請求をしているとのことです。その文書を配布していただきました。

法令の条文の解釈にとどまらず、こういうケースは「許可」、こういうケースは「不許可」という事例が具体的に列挙されています。例えば、最近、追加になった事例から。

*本邦の専門学校を卒業し、専門士の称号を付与された留学生に係る事例

◎許可事例

・美容科を卒業した者が、化粧品販売会社において、ビューティーアドバイザーとしての活動を通じた美容製品に係る商品開発、マーケティングに従事するもの。

・ゲームクリエーター学科において、3次元CG、ゲーム研究、企画プレゼン、ゲームシナリオ、制作管理、クリエイター研究等を履修した者が、ITコンサルタント企業において、ゲームプランナーとして、海外向けゲームの発信、ゲームアプリのカスタマーサポート業務に従事する者。

こういう最近の専門学校の学科の事例が、次々と追加になるのです。一方、

●不許可事例

・電気部品の加工を行う会社の工場において、部品の加工、組み立て、検査、梱包業務を行うとして申請があったが、当該工場には技能実習生が在籍しているところ、当該申請人と技能実習生が行う業務のほとんどが同一のものであり、申請人の行う業務が高度な知識を要する業務であるとは認められず、不許可となったもの。

・栄養専門学校において、食品化学、衛生教育、臨床栄養学、調理実習などを履修した者が、菓子工場において、当該知識を活用して、洋菓子の製造を行うとして申請があったところ、当該業務は、反復訓練によって従事可能な業務であるとして、不許可になったもの。

このように、入管の審査は裁量があるといえども、なにも、審査官の「勘」にたよるものではなく、多数の事例のなかから新たな事例を次々と「ガイドライン」に追加し、あいまいさを無くするよう努めているとのことです。

申請取次を行う行政書士としては、申請者本人や受入れ企業の主張をただ聞くだけではなく、自分で足をつかって、その現場を見聞きして、裏付けをしっかり確認することが重要というアドバイスをいただきました。

確かに自分で現場を見聞きした上のことであれば、このケースは絶対に認可すべきだという確信をもって申請できることになりますから、仮に却下された場合、さらに、証拠を集めて食い下がる、ということにつながります。

通り一遍の「許可事例」/「不許可事例」の学習よりも、そのような、「まず現場をみてくること」という類の「ノウハウ」を教わることが、よほど力になった気がしました。

写真はネットでみつけた画像です。(本文とは直接関係ありません)