「デジタル活用支援員」とは
他の先進国と比べて大きく遅れをとっているという行政手続きのデジタル化について、政府は数年以内に抜本的に改善する方針を打ち出しています。
そこで問題になるのが「高齢者」です。パソコンやスマートフォンに日常生活で触れる機会のない人が相当数、存在します。60歳代の25%、70歳以上の約6割の人はスマホを使っていないという調査結果があります。デジタル化の流れについていけるのかどうか。
そこで政府は、「高齢者らがデジタル化から取り残されないようにスマートフォンやマイナンバーカードの使い方を教える「デジタル活用支援員」について、2025年度までの5年間の事業構想を公表した。毎年度5000カ所で講習会を開き、5年間でのべ1000万人の高齢者の参加を促す。デジタル庁の9月発足を控え、デジタル化から取り残される住民がいないようにする」という方針を打ち出しています。
最近の報道では、さらに、その「デジタル推進員」を2022年度中に約1万人配置する方針とする、これまでは3000人ほどにする計画だったが3倍以上に増やすという方針が出されています。
問題は、その「デジタル推進員」です。「講師役は、携帯端末の講習会の会場になる携帯代理店の従業員のほか、学生や地域で社会活動をしている人などを想定している。講師向けの研修プログラムや統一的な教材を用意し、講師の質のばらつきを抑える」とされています。
想定されている会場は、「携帯電話販売代理店」という点が気になります。
デジタル化に距離を置きたい高齢者の心情としては、知らないことに付け込んで詐欺に会うのではないかという心配があると思います。実際の行政手続きをする市役所などの窓口で教わるのであればある程度安心できますが、手続きとは無縁の街中でスマホの操作を1時間程度教わっただけでは、そのような不安が解消されないのではないかと思われます。
システム作りと並行して、普及を促す際の仕組みについても、もう一工夫必要ではないかと思った次第です。
(もうすぐ見ごろが終わるイチョウの木を歩道橋の上から撮ってみました)