マンションの「空き家」問題
新型コロナや東京オリンピックのホットな話題から少し離れて、マンションの空き家問題について書きます。
昨年、宅建士の資格を取得し開業できるまでの講習は受けました。そもそも、相続関係で最も利害関係がからんでくるところでもあり、一定の知識を持っておきたいというのが動機でした。ただし、開業には資金が必要なことと、行政書士事務所とは別の区画に事務所を構える必要があるということなので、二の足を踏んでおり、もっぱら情報収集、頭の体操を行っている状況です。
そういうわけで、この方面のニュースにも関心があります。
7月26日の日経新聞に「防げマンション空き家 中古にお墨付き、物件選びやすく」という記事が掲載されていました。中古マンションの流通を促す新制度がいろいろ始まるという内容です。
「老朽化したマンションで空き家が増え始めると、修繕積立金を払う人が減って修繕が滞り、退去者も増える負の循環に陥りやすい。新制度は高齢化に伴う『マンション空き家』の未然防止も狙いだ」ということなので、たいへんタイムリーな施策だと思われます。
一戸建ての住宅の場合、中古物件でも、耐震性や省エネ性などに優れる「長期優良住宅」の認定という官庁がお墨付きを与えてくれる制度があります。本来、一戸建てに限定したものではないのにかかわらず、実態は中古マンションで「長期優良住宅」の認定を受けているケースは全体の2%に過ぎないということです。
それも含めて、中古マンションの流通促進につながる制度が施行されます。
・管理計画認定制度;2022年4月から
・長期優良住宅の見直し;2022年2月から
・修繕積立金用リバースモーゲージ;2021年4月から
最後の件は「住宅金融支援機構が60歳以上のマンション区分所有者へ将来の修繕積立金を融資する制度を始めた。自宅を担保にして資金を借りる『リバースモーゲージ』の一種で、元本は死後、担保とした専有部売却などで返す。高齢者が多いマンションはこの融資で、修繕工事の停滞などを避けられる」というものです。
つまり住み続けることはできるものの、死んでしまえばマンションは相続対象にはならない、ということです。その意味で、「家を財産として相続する」という風習からの脱皮と言えるものかと思いました。残すものがないほうが安心して老後を暮らすことができるという点で、このような制度は、ある程度、普及するかもしれません。
(夏の始まりに、紫や白の花をつける、アガパンサスが早くも、花が終わり、実をつけているのを見かけました。自然は着実に世代交代をしています)