新しい日常に向けた新たな副産物

新型コロナの新規感染者数の増加が抑えられると、外出自粛などに代わる「新しい日常」が登場する、というようなことを書いたのは、実は1年間でした。第2、第3、第4の波がきました。一方で、ワクチンの接種も始まっているようですし、そろそろ、波も収まる様子を見せてきています。

在宅勤務やリモート会議と変更して、印鑑不要やら行政手続きのデジタル化が言われてきました。そのようなコロナがもたらした副産物とでも申しますか、新しい日常に興味があります。

日経ビジネスに掲載された「『脱・物理鍵』が開く新市場 DX支えるスマートロック」という記事が目を引きました。ここで「DX」とは、今やご存知の方も多い、デジタル・トランスフォーメーションの略です。単にデジタル化するのは「デジタイゼーション」あるいは「デジタライゼーション」です。「デジタル・トランスフォーメーション」には、“進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革する”という意味が込められています。

記事がとりあげているいるのは「カギ」です。それも昔ながらの「錠前」ではなく、スマートフォンをかざしただけで開錠するというような類のものです。それが導入されると、単に、カギが要らないということにとどまらず、いろいろな生活パターンの変化に発展していくというものです。ピックアップしてみます。

◆シェアオフィスの貸し借りや賃貸物件の内覧の省人化・無人化;コロナ禍で訪日外国人が激減したことを受け、民泊物件をシェアオフィスとして転用する事業を、会議室シェアリング事業を開始したそうです。

◆企業の従業員の労働実態や入退室などセキュリティーの管理;昔流でいえば出社したときに時刻を記録する「タイムカード」に代わるものです。

◆車の鍵をスマート化することでシェアリングエコノミー;車のカギを遠隔で開けるという物はすでに多くの車で採用されていますが、スマホで開くようになれば、レンタカーやカーシェアリングの際に、「キー」などの物がなくても認証を受けたスマホさえ持っていればアクセスできるようになるので便利だと思います。

◆運送会社の配達員にワンタイムパスワードを付与して、住人が不在でも玄関前に荷物を置けるようにする;これもありですね。もちろん、悪用されないようなセキュリティーの工夫が必要かと思います。

など、遠くのひとに鍵を受け渡す、あるいは、鍵を複数の人と共有する、さらには、期間限定で鍵を無効にするなどの課題を解決することによって、新しい生活様式や新しいビジネス形態が広がっていくというような内容でした。

コロナ禍で「非接触」が大事になり、そこにヒントがあったということのようです。役所の手続きも、印鑑不要の次に来るものに期待したいと思います。

(いろいろな色のアジサイが目をひきます。季節が進めば色も変化していくものと思われます)