水害リスク情報の重要事項説明への追加

宅地建物の仲介の業務に携わっている人を「宅地建物取引主任者」と呼んでいた時代が長かったので、これが「宅地建物取引士」(宅建士)という「仕業」になっていることに馴染みがない方が多いかもしれません。

2014年(平成26年)6月18日、「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」が参議院本会議において全会一致で可決・成立し2015年(平成27年)4月1日に施行されることが決まりました。

役割は従来と大きな差異はなく、「宅建業者は事務所ごとに、業務に従事する者の5人に1人の割合で、成年者である専任の取引士(旧取引主任者)を置かなければならない。」というものです。

ただし、「士業」になった以上、法律で以下のことが定められています。

・宅地建物取引士の業務処理の原則
・信用失墜行為の禁止
・知識及び能力の維持向上

したがって、通り一遍の知識で業務を行うのではなく、信頼してくださるお客さまの利益を図り、安全な取引を実現するという義務が生じたと解釈しています。

例えば、法改正の動向もよく把握しておく必要があります。令和2年の法改正では、「近年、大規模水災害の頻発により甚大な被害が生じ、不動産取引時において、水害リスクに係る情報が契約締結の意思決定を行う上で重要な要素となっていることに鑑み」不動産の取引を行う際の「重要事項」の説明項目に「水害リスク」情報を説明することが追加されました。

「昨今、平成 30 年7月豪雨や令和元年台風 19 号など、甚大な被害をもたらす大
規模水災害の頻発を受けて、不動産取引時において、水害リスクに係る情報が契
約締結の意思決定を行う上で重要な要素となっていることを踏まえ、水防法(昭
和 24 年法律第 193 号)に基づき作成された水害ハザードマップを活用し、水害
リスクに係る説明を契約締結前までに行うことが必要となってきたことから、今
回、重要事項に水害リスクに係る説明が追加されました。」

では、その「水害ハザードマップ」はどうやって手に入れるのかといえば、ここにあります
◆ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/

このサイトから「洪水、土砂災害、高潮、津波、道路災害情報」を読み取ることができます。

「このマンションは、想定される最大の洪水の際に、水深1mまで浸かる可能性があります。該当物件は3階なので大丈夫です」というような説明をするのでしょうか。あるいは、近隣にある避難所についての説明も行う必要があるのかと思われます。

とにかく、災害が頻発するようになってきましたので、新たに住居を探す際に、少しでも安心して暮らせるためには必要なことと理解しました。

ここでも「信頼してくださるお客さまの利益を図り、安全な取引を実現する」ということのために、継続研鑽が必要だと再認識した次第です。

(公開されているスタジオジブリの「崖の上のポニョ」からイラストをいただきました。本文とは関係ありません)