行政のデジタル化のたいへんさ
デジタル化の波はどのように進むのか、行政手続きはどうなっていくのか興味があります。それを推し進める必要がある背景の一つに、少子高齢化があります。少子高齢化に伴う人口減少の影響です。平成の市町村の合併なども経ながら、地方自治体の職員の数は減少の一途をたどってきました。実際、総務省の統計によると、地方自治体の総職員数は、平成6年に3,282万人だったものが、昨年は2,741万人と20年間で50万人以上が削減されているとのことです。
一方で、「ゆりかごから墓場まで」と称されるように、住民の出生から死亡に至るまでのあらゆるシーンで行政サービスの出番があるため業務の種類が膨大です。さらに、少子高齢化が進むに伴い、人口構造の変化やライフスタイルの多様化によって自治体に求められる課題が新たに生まれているという側面もあるようです。介護予防、空き家対策、待機児童の問題など。
なるほど、印鑑廃止などの行政手続きのデジタル化の取り組みは、住民の便利さという点からだけではなく、役所自体の運営をなんとかしなければならないというところから出ていることがわかります。
デジタル庁が誕生して中央省庁ではトップダウンでいろいろな改革が行われていくものと思われますが、地方自治体の業務にそれを展開することは並大抵ではないということが伺えます。
そのために、先行する自治体に様々な実証を行わせて、その経験を水平展開するという試みが行われています。
ネットで調べると、千葉県市川市の「来なくて済む市役所」だとか、岐阜県高山市の「おくやみ窓口システム」など、新しい取り組みがあります。死去に伴う各種手続は、本人が亡くなっているため、親族が必要な手続を確認しなければならないことや、自治体側の関係部署が多岐にわたるため、一度の役所訪問で完了できないケースも多く、親族にとって大きな負担となるもので、ひとつの窓口で対応してもらえるだけでたいへんなメリットがあるものと思われます。そのあたりを、少し、調べてみたいと思います。
(写真は「写真AC」の FineGraphicsさんからいただきました)