EUの新型コロナ復興の施策から学ぶこと

新型コロナへの感染者が増加傾向にあることから、「GOTOキャンペーン」を中止すべきかどうか、議論が行われています。難しいのは医療の崩壊に至らないかという懸念と一方では経済の活性化の問題です。

外に目を向けて、我が国以上に大勢の感染者が出ているEUの取り組みをちょっと覗いてみます。

少し日本とスケールが違います。産業復興の柱を風力発電などの再生可能エネルギーや、地球温暖化で標的に上げられているCO2を排出しない水素関連のビジネスへの投資をこの機会に増大させることを狙っています。

風力発電による電気を使って水を電気分解して水素を作り、ガソリンや天然ガスを燃料に使っていた分野にも水素を供給するような仕組みを作る計画です。

水の電気分解装置は40GW(ギガワット)という規模で、250億から300億ユーロ(約3兆円)規模の投資になります。風力発電などの再生可能エネルギーへの投資は別枠で3400億ユーロ(約40兆円)となっています。

風力発電も水の電気分解装置もEU域内に世界をリードする企業がありますので、この機会を通じて、EU域内の経済復興と合わせて、世界各国にも、地球温暖化防止の観点で水素を推奨するような政治的な働きかけを行ってくることが想定されます。

名目はたいへん妥当な「気候変動の影響緩和、地球温暖化防止」ですが、EU内の進んだ技術や装置を購入せざるを得なくなりそうです。

ある意味で、EUによる水素の「黒船」がやってくるかもしれません。

インバウンドで期待していた海外からの旅行者が途絶え、旅行関係や観光地のお店が冷え切っていることは理解しますが、どうも議論はその点ばかりが強調されているのが気になります。「旅行は控えましょう」ということにということになるのであれば、この際、もう一段、高い視点で経済復興の議論が起こることを期待したいと思います。

(写真は「写真AC」のなかから中山さんのものです。本日の記事は、主に、ここから情報をいただきました。「欧州連合の水素戦略と日本への影響」)

http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/renewable_energy/stage2/contents/column0201.html