行政手続きのデジタル化が円滑に進むことを願う

行政手続きから印鑑を無くす、ということだけではなく、あらゆる申請のデジタル化が進むものと思われます。建設業の登録申請のように、膨大な申請書や添付書類を束ねて役所の窓口に持っていき、ひとつひとつ、赤鉛筆でチェックを受けるというような方式がいよいよ終わります。

すでに、そのような紙による申請も受け付けますが電子申請もできますよ、という手続きがあります。「建設キャリアアップシステム」もそのひとつです。

昨年から登録が始まったもので、建設業で働く現場の技能系労働者を対象に、全員に電子チップ付きのカードを発行するものです。日々、現場に入る都度、カードを端末にタッチして実績を記録します。それが蓄積されることで数年後の処遇改善につながる、すなわち、キャリアがアップしていく仕組みです。外国人技能実習の人も全員必須になっています。

それが、この10月1日に大きな登録料の改訂がありました。コロナ影響で登録組織は運営が厳しいなかで対応していることに加えて、値上げ前の駆け込み申請が多数あったようで、電話による問い合わせがなかなかつながらない、という現象になっておりました。

ところが、10月1日以降は電話による問い合わせはなくなり、質問は、FAQ(よくあるご質問)をみるか、メールで問い合わせるという方法しかなくなりました。しかも、以前は、自由な書式で気軽に問い合わせできたものが、制度が変わった後は、質問者自身の「登録ID」を入れなければ質問書式が整わない、という難しいものに変わっています。料金アップしたのだからサービスの向上に向かうものと思っていましたのに、残念なことです。

申請書を紙で提出する場合の注意書きは、けっこう充実しています。それぞれの欄に記入すべきサンプルも数通り用意されています。だから、デジタル申請もそれを見てやりなさい、ということのようですが、けっこうハードルが高いことを実感しています。

例えば、項目によっては、記入すべき事柄がない質問事項もあります。空白のまま飛ばして、最後に申請完了のボタンを押すと、エラーになったりします。電話で質問すると、「そこは空白ではダメで、該当するものがなければ「なし」と入力してください」と親切に回答してくれました。そうかそうか、と言われたとおりにやってみると、スルスルと通りました。

こういうことは頻発するような気がします。申請書に入力項目が多いと、入力の不具合の数は、その質問項目の数の何倍も起こりえるので、紙の申請とは異なり、いちいち、トラブル事例をマニュアルに記載しきれない、ということになります。

試行錯誤すればなんとかなる、ということかと思いますが、テレビゲームのはしりの「ドラゴンクエスト」のように、一人では手探り状態で綱渡りしながら間違いを繰り返すのみで「攻略本」無しでは画面転回ができない、ということでは困ってしまいます。

一挙に「さあデジタル化だ」と号令がかかって、行政側もたいへんだと思いますが、とりあえず、小さな愚痴を書いておきました。行政手続きのデジタル化が円滑に進むことを心から願うものです。

(今回もジブリからいただきました。本文とは関係ありません)