「若い人たちに明日の建設産業を語ろう」という思い

また、台風のシーズンがやってきました。最近は、ニュースなどでも「数十年に一度の」という枕詞が当たり前のように付く、大災害に至るケースが頻発しているように思います。

一方で、多くの社会インフラが1960年代以降の高度経済成長期に建設され、一部には老朽化が進んでいます。

災害対応に老朽化施設の更新を考えたとき、建設業の役割は今後ますます重要になってくるものと思います。

「建設産業政策2017+10 ~若い人たちに明日の建設産業を語ろう~」という文書が国土交通省のホームページに掲載されています。すでに5年が経過していますが、この時点で、10年先を見据えて、若い担い手を増やしていくことに重点を置いてまとめられたものです。

その内容は盛りだくさんです。概要は、2枚の図表にまとめられています。

https://www.mlit.go.jp/common/001191664.pdf

10年後を見据えて、建設産業に関わる各種の制度インフラを再構築する必要性が示され、昨年度から来年度にかけて施行されている「新・担い手3法」に展開されています。その根本に据えられている「思い」の部分をピックアップしていきます。

危機意識を訴えているのは「将来的な建設業従事者の減少」です。少子高齢化が進んでいますので、これは全産業について言えることですが、その影響が建設業は著しいととらえています。放置するとたいへんなことになる、「個々の企業の取組だけで担い手を十分に確保できていた時代はすでに終わっている」と。

建設業には「現場」がつきものです。ここが大事な点であり、
「建設産業が今後も産業として成り立って行く上で源泉となる「現場力」を維持するとともに、「超スマート社会」の実現など国内外の“未来づくり”の一翼を担うことで若者に夢や希望を与えることができる産業であり続けるためには、個々の企業の一層の取組に加え、個々の企業を超えた施策が必要」という背景があります。

具体策に落とし込んでいくと、「働き方改革、生産性向上、良質なサービスの提供、地域力の強化」という分類になるのですが、例えば、「働き方改革」は、現に就労している方の処遇改善だけが目的ではなく、そうなっていることが外部の者にとって、建設業が良い方向に変わっていくことが見えることも重視しています。

◆建設業従事者の継続的な処遇改善(建設キャリアアップシステムの活用)
◆適切な工期設定、週休2日に向けた環境整備(ガイドラインの策定)
◆働く人を大切にする業界・企業であることを見える化(評価制度の創設)

このように、目的⇒達成すべき課題⇒具体的な施策に、ひとつひとつ展開されています。

新型コロナの影響で昨年までの想定が成り立たなくなっている箇所もあろうかと思いますが、着実に進展することを期待しています。

(写真は、まぽ (S-cait)さんによる「写真AC」からいただきました)