コロナをめぐる入管関係;外国人上陸拒否の状況(その1)

出入国在留管理庁から、7月1日付で「新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否について」という通知が出されています。

http://www.moj.go.jp/content/001318288.pdf

いろいろな事情が含まれているので、整理のために、ここで要点を解説したいと思います。

①4月3日までに指定された国・地域;73か国(インドネシア、タイ、韓国、台湾、中国、カナダ、アメリカ、ほとんどの欧州諸国など)
②4月29日から追加;14か国(ウクライナ、ベラルーシ、中近東諸国など)
③5月16日から追加;13か国(ウルグアイ、コロンビア、メキシコ、一部のアフリカ諸国)
④5月27日から追加;11か国(インド、パキスタン、バングラデッシュ、アルゼンチン、ガーナ、南アフリカなど)
⑤7月1日から追加;18か国(キューバなどのカリブ海諸国、イラク、レバノン、アルジェリアなどのアフリカ諸国)

以上、5回にわたって対象国が拡大されています。合計すると、129か国になります。
世界の国の数は、現在、196か国にのぼるそうなので、まだ「全世界」ではないとしても、約3分の2の国が対象になっています。

さて、上陸拒否の対象者は、その対象国の「外国人」のほか、
◆上陸の申請日前14日以内にその対象国に滞在歴のある「外国人」
もその対象者になります。

加えて、その「外国人」には、
◆「永住者」,「日本人の配偶者等」,「永住者の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を有する人も対象者です。

本来、外国人ながらそれぞれの資格で日本に在留している人なので、何かの事情があって外国に渡航したケースです。この人たちは、再入国許可により出国した場合であっても、「特段の事情がないもの」として上陸拒否の対象となる、というものです。

注意すべきは「特別永住者」です。この方は「入管法第5条第1項の審査の対象外」つまり、入国拒否の対象ではないとなっています。

◆「特別永住者」とは、以前もここに書いたことがありますが、
ポツダム宣言受諾以前から、引き続き日本内地に居住している朝鮮人及び台湾人とその子孫が主な対象です。また、1950年の朝鮮戦争の際に密航してきた人が含まれます。
当時の政府は、GHQや韓国政府などと調整していた経緯があるが、受け入れられず「かつて日本国籍を有していた外国人」を「特別永住者」として定義しています。
令和元年(2019年)時点で、31万人、在留外国人全体の約11%に相当します。
平成3年(1991年)には、69万人と、在留外国人の5割を超えていましたが、日本に帰化するケースなどにより、年々、減少しています。

ともかく、この「特別永住者」は入国拒否の対象としない、という通知です。

もうひとつ、ややこしいのは、「特段の事情がないもの」の取り扱いです。

これは、次回に回します。

緩和の話が検討に上っている国はありますが、まだまだ、全世界をながめると収束までには時間がかかるようです。

( 図は RRiceさんによる「写真AC」からいただきました)