パワハラにご用心

緊急事態宣言が解除されました。
例年と異なり、日にちだけが経過し、たいした変化のないまま、6月を迎える方も多いのではないかと推察します。
さて、法制度の面で「6月1日から変わること」を調べてみました。
「職場におけるハラスメント防止対策が強化されます」

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000596904.pdf

社会保険労務士さんの領域ですが、この6月1日から「パワーハラスメント防止措置が事業主の義務となります!」ということです。(※中小事業主は、2022年(令和4年)4月1日からの義務化で、それまでは努力義務となっています)

「職場において行われる、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの」と定義されています。
資料には具体的な事例もとりあげられています。題目だけ列記してみます。

⑴ 身体的な攻撃
⑵ 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
⑶ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
⑷ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
⑸ 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこ
⑹ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

ハラスメントは、「どういうつもりで言ったか」ではなく、受け取る側にとってその言動がどうだったかという判断になります。厚生労働省のパンフレットは、その点、使用者側の言い訳にも通じるような、「こういう場合は該当しません」ということまで書かれており、ちょっと甘いのではないかと危惧されるところもあります。ともかく要注意です。

また、「中小事業主」は、令和4年4月からの義務化とのことですが、今回の対象は、
「正規雇用労働者だけでなく、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規
雇用労働者を含む事業主が雇用する労働者全てを指します。派遣労働者も含み、派遣労働者については、派遣元事業主だけでなく、派遣先事業主にも雇用管理上の措置義務が生じます。また、派遣先事業主も派遣労働者が相談等を行ったことを理由として労働
者派遣の役務の提供を拒む等不利益な取扱いを行ってはいけません。」となっています。

緊急事態宣言を受けてから、在宅勤務が増えて、直接、面と向かって業務上の指示を受けるよりも、ネットを通じた指示をもらう機会が増えていると思われ、その傾向は、緊急事態解除後も拡大するものと想定されます。
パワハラとは少しはずれますが、先日、女子プロレスラーの方が出演した番組のことをめぐって、ネット上の批判コメントが殺到、炎上したことが元で自殺に追い込まれるという事件もありました。

今回の厚生労働省の指針は、そのような「新しい生活様式」に相当するものがとりあげられていませんので、その方面の配慮も必要になるのではないかと感じました。
以上、6月1日から変わることです。

(これは、厚生労働省のリーフレットからの抜粋です)