4月1日から変わること;意匠法の改正もみておきます

東京では桜が咲き、お花見シーズンが到来しておりますが、異例づくめの春です。世界各国で、それぞれの国情に応じた対策がとられています。新型コロナウィルスの影響がおさまるのも時間の問題と言えるまでにはもう少し時間がかかりそうです。いずれにしても、歴史に残る年になることと思います。
さて、この4月1日から法制度の点で大きく変わることがいろいろあります。行政書士に身近な民法改正のほかに、特許の関係で、意匠法の改正も4月1日から施行されます。
会社設立や営業許可等の許認可の関連で、知的財産権についての相談を受ける場面もあろうかと思います。ただし、この分野は「弁理士」さんの業務であることを認識した上で、常識として、世の中の変化を押さえておきたいと思います。

さて、「意匠法」も明治以来の大改正になっています。
「日本で意匠条例が制定されたのは130年ほど前、明治時代のこと。そのとき以来、意匠権として法律で保護され、独占できる対象は「物品(=有体物である動産)の形状や色彩など」に限られていました。しかし近年、IoT・AIなどの新技術の発展により、デザインの対象や役割が広がってきており、現在の意匠法による保護では十分ではなくなってきていました。そこで日本でも、時代に合わせ保護対象などを見直すことで、デザインの力をもっとビジネスに活かしてもらいたいと考えました。」と特許庁のホームページに趣旨が掲載されています。
改正の大きなポイントは2点。
①保護対象の拡充;「物品」のみならず、無体物である「画像」、不動産である「建築物」、「内装」まで保護するものです。物品の枠組みを超えるのは、立法以降初めてのことであり、明治以来の大改正とのことです。
②関連意匠制度の拡充;シリーズ製品に関して、後出しして登録できるデザインの範囲とその出願時期を拡張しています。

「画像」に関しては、やはり、知的財産権を活用したICTビジネスの活性化との関連が強調されています。
「IoTやAIといった新しいデジタル技術を活用したビジネスでは、物としての製品よりも、ソフトウェアやスマホアプリなどを主体とするサービスが増えてきています。そうしたサービスにおいては、ユーザーと機器との接点となる画像デザインが重要となってきます。しかし、画像デザインをいくら使いやすく独創性の高いものにしても、従来の意匠制度では、「物品の形状等」ではないという理由で権利として保護されません。そうすると、簡単に真似され、模倣品があふれてしまい、投資を回収できないリスクが高まります。そうなると、画像デザインを創作するインセンティブが無くなり、ソフトウェアやアプリを用いた画期的なサービスが生まれません。今回「画像」の保護が可能になったことで、そのようなビジネスであっても投資したコストを回収でき、それを基に新たな意匠創作や商品開発へつなげていく。そんなデザインを活用したビジネスの好循環を期待できます。」

業界の違いなのか、特許庁は、このような新しいビジネスにたいへん熱心です。この分野で商売をしようと思っているわけではありませんが、世の中の流れとして、今後も注視していきたいと思います。

また、特許に関しては、「電子申請」が始まったのが、平成2年(1990年)からです。すでに、30年の経験があります。この点については別の機会に学ぶべき点をざっと見ておきたいと思います。