国と地方自治体の関係を再認識すべき

どうしても、新型コロナウィルスについて触れざるを得ません。
今朝の新聞では、全国の小中高校が春休みまで臨時休校になることが報道されています。休校になると自宅でお子さんの面倒をみなけらばならず、病院に出勤できない看護師さんなどが生じてしまうということで、保育所や学童保育などは対象外ということです。
各種のイベントに対しても政府から、2月26日付で、
「この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請することといたします。」とされています。

このような状況下で、他国では「非常事態宣言」を発し、大統領の命令で一律に国民の行動を抑制するということが可能であっても、日本の場合、そのように政治の仕組みができていないことを、この際、よく認識しておく必要があるように思います。

テレビなどでは、政府がもっと新型コロナウィルスの検査対象を拡大すればいい、などの政策内容についての注文を述べるのはよしとして、総理大臣が強権を発動して必要な対策を打つべきだというようなことに言及するのはタブーなのだということを国民に理解させる必要があるものと思います。日本はそういう国なので。
なので、冒頭の政府のお知らせもあくまで、一律にイベントを禁止する措置ではなく、主催者が判断して「中止、延期又は規模縮小等の対応を要請する」となっています。

また、都道府県や市町村などの「地方自治体」は、国の下請け組織ではありません。地方自治法で「国は、地方公共団体に関する制度の策定や施策の実施に当たっては、地方公共団体の自主性・自立性が十分発揮されるようにしなければならない」とうたわれています。国政選挙のような国の業務を地方自治体に委託されるものを「法定受託事務」といいますが、地方自治法の改正の際に「法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、・・・地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜、適切な見直しを行うものとする」(地方分権推進一括法附則§250)とされています。

ですから、例えば「保健所」に関しては「保健所とは地域住民の健康や衛生を支える公的機関の一つであり、地域保健法に基づき都道府県、政令指定都市、中核市、施行時特例市、その他指定された市、特別区が設置する。」とされ、あくまで、それぞれの「首長」の下に置かれる組織なので、政府はあくまで、「要請」つまりお願いするのが精いっぱいで、一律に介入することはできない仕組みになっています。

非常事態だから、という論理が通れば、なんでも簡単に事が片付いてしまいそうですが、我が国の仕組みは、そのようなことができにくいようになっていることをあらためて、テレビや新聞の報道は一言ふれるべきではないかと思う次第です。

これは、地方にとっても、なかなかたいへんなことで、今回の新型コロナウィルス対策のような突発時に際しても、「政府の指示を待つ」のではなく、それぞれが、適切に対処できなければならないことを意味しています。

ですので、冒頭の「全国の小中高校が春休みまで臨時休校」という措置について、多少の驚きを感じたしだいです。

明日と明後日はブログをお休みします。新型コロナウィルスの対策動向を冷静に見守りたいと思います。

(写真は、早坂言さんによる「写真AC」からいただきました)