経済産業省の取り組みで「成果連動型民間委託(PFS)」を理解する

医療・健康、介護の分野といえば、もっぱら、厚生労働省の管轄と思っておりました。ところが、先日、2月3日に都内で開催された、成果連動型民間委託契約方式による事業(PFS:Pay for Success)の普及を目指した関係省庁の取り組みや先行事例を紹介する「PFSセミナー」のなかで、
「経済産業省は、2016年度からヘルスケア(医療・健康、介護)分野でのPFS/SIBの普及促進に取り組んできた。八王子市の大腸がん検診受診勧奨や神戸市の糖尿病性腎症の重症化予防といったモデル事業を行い、中間成果評価ではいずれも目標を上回る成果を確認した 」という発表がありました。
ここで、「PFS:Pay for Success」とは「行政の民間委託契約で、事業の成果に応じて支払額が変動するものをいう。成果目標をあらかじめ定め、その達成の度合いなどを評価し、支払額を決定する」という民間委託の形態であり、「SIB」は「ソーシャル・インパクト・ボンド」の略で「成果連動型民間委託」ですが、国や自治体の資金ではなく、資金を民間投資家から調達するものを指します。
経済産業省として、「2020年度も、特に、一次予防(生活習慣を改善し、健康を増進して疾患の発生を防ぐこと)や、介護現場の生産性向上をテーマにした案件組成を支援し、モデル事業を創出したい」と、商務・サービスグループヘルスケア産業課の方がご説明されています。経済産業省も幅広いものです。
同じような「医療・健康、介護の分野」でも、新規事業に発展するものは経済産業省の支援を受けられるということと理解しています。
八王子市の「大腸がん検診受診勧奨」をみてみると、
・大腸がん検診受診率向上に寄与するメッセージ・勧奨物を開発
・最低 12,000 人(12,000 部)の送付対象者へ郵送
というような業務であり、ただ単純にその作業に対する支払いではなく、
「過去の大腸がん検診受診率は9%であり、この数字を基準とし、市へ医療費削減効果が還元される 15%以上の検診受診者を確保できた場合に限り契約代金を支払う」という面白い仕組みです。
なるほど「Pay for Success」です。ただの「市からお知らせ」ではない、なにか、ひと工夫がなければ達成できない、一段高い目標を決めて、それを民間に委託する、ということになっています。そのようなことを得意とする業者、だから、経済産業省の扱いなのかと納得しました。
次回は、最後に、法務省の取り組みをみていきます。
(写真は、Hadesさんによる「写真AC」からいただきました)