スマート介護士が活躍するのか;2040年を見据えて
西暦2000年にスタートした介護保険の制度も20年が経過しました。2040年頃に高齢者の人口はピークを迎えるという予測ですので、今が折り返し地点と言えそうです。
ここまでも制度の部分的な改正などの紆余曲折があったものと思いますが、これからさらに、団塊の世代(1950年生まれ)が75歳に突入することなどの予測可能な環境変化に対応していくために、この制度に対して大きなテコ入れが必要になってくるものと思われます。
政府のこの分野の資料には、さかんに、デジタル化、ロボットやITの導入が示されています。たくさんの人の手に変わって、機械に置き換えていくことで、「働きやすい」環境を作っていこうという方向性です。福祉施設のなかで全面的な機械化は少し先のことであっても、見守りセンサーをはじめ、必ずしも人の手を借りないで済むところには各種の設備が入り始めていることと思います。
そういった様々なデジタルな装置を使いこなし、本来の効果を発揮させるには、それに精通した人材が必要です。そのための資格として、「スマート介護士」というものが登場しました。2019年3月に創設された、新しい資格です。介護ロボットや介護センサー等を活用しながら介護現場の質の向上・効率化に役立つ資格として、これからの介護現場での活躍が期待されています。
今回の内容は、特定のサイトからの引用が多くなります。と言いますのも、この「スマート介護士」は、公的資格ではなく民間資格です。介護事業者向けの経営コンサルティングや介護ロボットメーカー企業向けの開発・販売コンサルティングサービスを行う、社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所が運営しています。
ロボットやITに頼るこのが良いか悪いか、好きか嫌いかということは別にして、一つの方向性として、この資格の内容や周辺を少し見ておきたいと思います。
まず、スマート介護士導入のメリットです。
・介護の質の向上・効率化;要介護者の状態や必要な介護内容はそれぞれ異なります。適切な介護ロボットを上手に活用することで、介護の質の向上が期待できます。日々人手不足に悩む介護現場の業務を一部介護ロボットで行うことで、空いた時間を利用者とのコミュニケーションやより専門性の高いケアにまわすことができます。
・勤務環境の改善;法律で定められた人員配置をしていても、現場は常に忙しいものです。特に夜勤は限られた人員で業務をしなければなりません。できるだけ安全に施設生活を送っていただくために、定時の安否確認や見守り以外でも介護ロボットによる見守りが加われば、勤務者の負担が減り、事故を未然に防げる可能性も高まります。
ーーこれらは、施設全体にとってのメリットです。
・慢性的な人材不足を抱える介護現場において、いつの時代も人手の確保は大きな課題です。これから少子高齢化がますます進む日本において、深刻な問題とも言えます。介護施設の安定経営には、質の高いケアと人材不足の解消は不可欠です。今現在、働いている介護職員がこれからも働き続けられる環境を作ることも非常に大切です。
・介護ロボットを持て余す理由は、使用方法を熟知している職員がいないことや、介護業務全体に取り入れる体制づくりができていないことが大きく影響します。スマート介護士資格の取得は、これらの問題を解決することにつながり、これからの介護現場を変える大きな一歩となることが期待できるでしょう。
ーーつまり、従来から働いている方はたいへん貴重な人材ですが、介護の現場にも、どんどん導入されていくロボットやIT関連の装置を使いこなせない状況が頻繁に出てくる可能性があります。例えば、熟練の介護士の方が苦手な機械操作をいちいち覚えるのは非効率なので、それは、スマート介護士に任せたらどうですか、というものです。
いいかもしれません。どうしても新しい機械を導入するとそれを専門に扱う技士が欲しくなります。スマート介護士は、単に、機械に明るいだけではなく、この資格の取得を通じて、「介護の基礎」のような科目も学習してきます。したがって、現場に配属されても、それなりの役割分担によって、即、戦力として活躍できることが期待できます。
この2月に第3回目の試験が予定されています。私は都合がつかず今回は受験できませんが、年に2回のチャンスがあるようなので、いつか、この資格にチャレンジしてみたいと思います。そうすると、現場に役に立つか、必要としないものなのか、実地で確かめることができます。
画像も試験募集のサイトから概要を引用させてもらいました。