2040年を見据えて;地域包括ケアなどの変化に対応するために

高齢者人口は、2040年頃にピークを迎える予想です。そのあとは、全年齢の人口減少に伴い、徐々に減少していく見込みとなっています。

2040年にむけて着実に国の社会保障関係の支出は増え続けます。ただし、大小様々な制度改正によって、現行の制度は破綻することなく、継続されるというのが政府の見通しです。「消費税率の引上げによって、2025年を念頭に進められてきた社会保障・税一体改革が完了」という施策も、その一環です。

「2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現を目指す」というのが、この方面の方針として示されています。

・多様な就労・社会参加
・健康寿命の延伸
・医療・福祉サービス改革

という3つの柱がありますが、このなかで、「地域共生タスクフォースの検討の方向性」という項目があります。以下の3点が示されています。
①丸ごと相談(断らない相談)の実現
②共生サービスの推進(高齢者も障害者も利用できるサービス)
③地域共生に資する取組の促進について検討を行う。

ーー「断らない相談」とは、おもしろい表現です。
「制度の壁を越えて、世帯の複合的なニーズやライフステージの変化への対応力を高めていくための相談支援体制の構築」というのが、その内容になっていますが、組織縦割りで、たしかに「高齢者対応窓口」や「障害者対応窓口」のように、お役所の窓口は通常、担当範囲が明確に区分されていますので、「それはうちの担当ではない」というような場面が生じる余地があったのかと思います。壁を取り払い、丸ごと相談を心掛けるという方向性が示されています。

政府が示す、このような行き届いた施策は納得できる内容ですが、労働人口の減少に伴い、市区町村の職員の人数も減らさざるを得ないのではないかと思います。
「丸ごと相談」や「地域包括ケア」を目指すという方針を実現するためには、官庁の職員の方の努力と並行して、それらのサービスを受けるための申請手続きなどに係る行政書士の業務も将来を見据えて変化が必要ではないかと思われます。

従来は、このような局面では、「血の通わない申請書ではなく、ユーザーの要望を組織の壁を越えて網羅する」ということを、「心の通った」アナログなサービスの方向に見出しがちでした。
そうではなく、これをデジタルやAIでカバーしようというのが、今後の取り組みの特徴かと思われます。行政サービスの質の向上と省力化が同時に達成できるか見守っていきたいと思います。