2040年を見据えて;福祉とデジタルの関係
高齢者人口がピークになる2040年まで、着実に国の社会保障関係の支出は増え続けます。ただし、大小様々な制度改正によって、現行の制度は破綻することなく、継続されるというのが政府の見通しです。
ただ、高齢者の人口増加と反対にい、65歳以下の労働人口は確実に減少していきます。
福祉をささえる人口も急激に減少することが懸念されます。
就業者数の推移をみてみると、2018年は6,580万人なのに対して、2040年は推定で5,650万人にまで減少します。ただし、このうち、「医療・福祉」の分野に従事する就労者数に関しては、2018年は823万人なのに対して、2040年は推定で1,060万人と増加を見込んでいます。就労者全体の比率でも、2018年は12.5%に対して、2040年は19%と大幅に増加を見込んでいます。
高齢者の数が増加することに伴い、労働者数のニーズは高まるものと思います。これを実現させるために、「テクノロジーの活用」を施策にあげています。
・2040年に向けたロボット・AI等の現場活用に向けた実用化構想の検討
・データヘルス改革
・介護施設における業務フローの分析・仕分けを基に、①介護助手、②介護ロボット(センサーを含む)、③ICTの活用等を組み合わせた業務効率化のモデル事業を今年度中に開始。効果を検証の上、全国に普及。
・オンラインでの服薬指導を含めた医療の充実
主な施策は以上のようなものです。
介護職員の負担軽減のためには、AIに頼らなくても、「経験、技能を有する専門職が行うべき業務」「他の専門職が行うべき業務」「専門職でない職員が行える業務」に仕分けをするとか、さらには、「元気高齢者」に介護助手として活躍してもらう、というようなことも具体的に検討されています。
また、介護施設では、24時間、利用者の状況を確認する必要がありますので、ロボット・センサー・ICTの活用によって、負担が軽減されるかもしれません。
ただし、介護施設の職員が離職せずに定着するには、このような道具や仕組みによる物理的な負担の軽減だけでは不十分であり、チームワークで成り立っている職場を明るい魅力あるものにするような業界全体の取り組みが必要であるような気がします。
さらに、介護労働者の不足する数を補う目的で、外国人を大量に導入する取り組みが始まっていますが、話が複雑になりすぎるので、またの機会に触れたいと思います。
介護分野は、仕事がきつく、離職率の高さも目立ち、平成28年度には離職率が16.7%だったというデータもありますが、改善されることを期待したいと思います。