成年後見制度はなぜ機能していないのか(続きもの)

昨日から、神奈川会で、うんと縮めれば、「成年後見に関連する行政書士業務を受けるための資格」の講習が始まり参加してきました。

正式には、「一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター」に入会するための研修生のための講座です。

資格取得まで、36時間という長い講座を受けなければなりません。その上で、「効果測定」という名の試験が用意されています。

先輩の行政書士の方から、「新人のうちはヒマだから、この資格でもとっておけばどうか」とコメントいただいたものです。

たしかに、軌道に乗って、バリバリ仕事が入ってきてしまったら、連続して36時間の講義に縛られるのは対応が困難かと思います。

行政書士の同期のメンバーは、ほぼ春から初夏にかけて、行政書士としての開業手続きを完了しています。一方、この講習の開始が、11月20日からというのは遅すぎるのではないか、などの不満を並べてもはじまりません。講義を受けさせていただく立場なので。

ここで取り上げたいのは、そのような「修行中」ということだけではなく、初めての講義であらためて感じた、この成年後見制度の実態です。

いろいろな統計があると思いますが、認知症に罹っている高齢者は、日本国内で推定で500万人はくだらないと言われています。

では、相当の方が、この成年後見制度を活用しているのかと言えば、昨年の実績で、わずか、22万人だそうです。

そもそも、この制度は、2000年に「介護保険制度」をスタートさせるにあたり、それまでの、行政側が一方的に行う「措置制度」から、利用者が自分で選ぶ「契約」に制度を切り替える必要があり、自分の意志で「契約」を行うことができない認知症の方などを対象に、本人の権利を守りつつその方の権利を行使するための選任の援助者をつける制度として発足したという経緯があります。

「介護保険制度」自身がうまくまわっているのか、数年先に財政が破綻するのではないか、という心配はここでは書きませんが、成年後見制度が、こんなにも利用者が少ないというのは、制度そのものに根本的な問題があるのだろうな、という気がしております。

資格を身につけるための講義は受けながら、問題点についても解明していきたいと思います。