農地転用は簡単ではないこと
昨日は、即位礼正殿の儀の祝日ながら、行政書士神奈川県会の建設環境部主催で 「神奈川県における農地の現状について」というテーマで、農地を相続した際の課題などについて、神奈川県農業会議の方から講演があり、聴講してきました。
以下の図に記載のとおり、農地法は戦後の食糧難だった昭和27年に制定されたもので、簡単に農地を宅地などに転用させないことが基本になっています。 そもそも農地は広い面積ながら固定資産税の低減措置がとられています。それは農家にとって優遇措置ですが、一方、相続によって、遠方に住んでいる者が農地を相続する、というケースは十分想定されます。就農していない者が相続すると、この優遇が受けられなくなります。 それだけではなく、もはや農業をやる意思がないので宅地に転用したい、あるいは、売却や賃貸したいということも十分あり得るものですが、簡単に農地を転用できない仕組みになっています。 さらに、毎年、夏に各県の農業委員会が農地を見回り、耕うんなどの整備がされてないと、近隣の農地への悪影響も起こりえますので、どうするか意向確認の書類が土地の持ち主に送付されます。それに期限までに回答しないなどの悪質な場合は、固定資産税が翌年から、1.8倍になるとのことです。仮の想定ですが、それを4回繰り返すと、税金が10倍になってしまいます。
そのような面倒をさける意図か、相続しても登記しない土地が2割にのぼっているとのことです。
最近、法令が整備され、放置されている土地について自治体が公示を行い、持ち主が名乗り出ない場合、その土地の利用権を活用し、コミュニティーセンターなどの目的に再利用する方向に進んでいます。農地も、本来の昭和27年制定時の食料の生産を守ろうという趣旨とは反対に、がんじがらめの農地を所持し続けることが時代にそぐわなくなってきていることから、一挙に農地以外の目的に転用される方向に進むものと思われます。
市街化区域、市街化調整区域などの計画との関連も複雑であり、相続の対象に「農地」があった場合、扱いが難しいことを再認識しました。 結論は、農業委員会に相談するのが一番のようです。