もっと知ってほしいADR

先週末、福島避難者をサポートするイベントがあり、ボランティアとして参加してきました。バザー、トークや歌謡ショーがメインな企画でしたが、司法書士による無料相談コーナーも設けられておりました。福島から神奈川県ほか他県に避難してきている方に支給されてきた「避難者支援金」も打ち切られていることに対する追加の要求や、体調不良への補償を求める方々を対象にしています。この種の取り組みは、時間のかかる裁判ではなく、より簡便な方法で解決を目指すものです。

「厳格な裁判制度に適さない紛争の解決手段として今後多くの利用が見込まれる裁判外紛争解決としての仲裁、調停、あっせんなどを促進することで、国民がより身近に司法制度を利用できるようにすることを目的としている。」

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年12月1日法律第151号)通称「ADR法」の狙いです。

東日本大震災から8年半が経過しています。震災復興を目的とした「復興庁」が設立されたのが、震災の翌年、2012年2月、震災発生から10年となる2021年(令和3年)3月31日までに廃止されることとされています。

そのあとは、引き続き内閣府の外局に移り、担当大臣を置き、災害復興および新たに防災行政を一元的に担う組織として継続することが閣議決定されていますが、日々、あちこちで災害が起こっておりますので、東日本大震災復興関連の予算が大幅に縮小されるのではと懸念されています。

司法書士の相談コーナーでも、国や東京電力などを相手の訴えについても、今後は、一つ一つ、その訴訟要件との因果関係を立証する裁判に移行する見通しです。正式な裁判となるとたいへん時間がかかるものになります。

その意味で、今がラストチャンスでもありますので、避難されている方や関係者にもっと広く知ってもらいたいと思いました。

風化しないように、改めて、東京電力が2014年に表明していた「三つの誓い」を書き留めておきます。

(1)最後の一人まで賠償貫徹 (2)迅速かつきめ細やかな賠償の徹底 (3)和解仲介案の尊重