国籍のない人を思う
ある方の記事を拝見していて、東欧、チェコやスロバキアのロマ人のことに触れているものを目にしました。今は用語が差別につながることで目にしなくなった「ジプシー」の人たちです。
スペインの作曲家サラサーテのツィゴイネルワイゼンもに「ジプシー音楽」が下地になっていると習いましたが、今はなんと教えるのか。
少し調べてみました。以下、主にwikiからの抜粋です。
「主に北インドのロマニ系に由来し中東欧に居住する移動型民族である。移動生活者、放浪者とみなされることが多いが、現代では定住生活をする者も多い」
「歴史的経緯をたどると、ロマは西暦1000年頃に、インドのラージャスターン地方から放浪の旅に出て、北部アフリカ、ヨーロッパなどへとたどり着いたとされる。旅に出た理由は定かではないが、西方に理想郷を求めた、などの説がある。彼らがヨーロッパにおいて史料上の存在として確認できるようになるのは15世紀に入ってからで、ユダヤ人と並んで少数民族として迫害や偏見を受けることとなる。ただしユダヤ人ほどこの事実は強調されていない」
歴史をかなり省略すると、
「第二次世界大戦までの多くのヨーロッパ諸国では、ロマは固定した店舗で開業することは禁止されていた。このため、伝統的に鍛冶屋、金属加工、工芸品、旅芸人、占い師、薬草販売等に従事していた。現在も基本的に移動生活を続けているロマは多く、移動手段として自動車を用い、これに伴って職業も以前の馬の売買から、自動車の解体・中古車のあっせんなどに変化してきている」
「各国のロマ人の分布;欧州連合の行政府・欧州委員会によると、欧州に暮らすロマの人口は推定1000万~1200万人。 欧州評議会の各国別推計によると、ルーマニア185万人、ブルガリア75万人、スペイン72万5000人、ハンガリー70万人、スロバキア49万人、フランス40万人、ギリシャ26万5000人、チェコ22万5000人、イタリア14万人など」
「21世紀に入った現在、ルーマニアでのロマ問題は拡大の一途をたどっている。EU諸国からのロマの強制送還により、ロマ人口が増加しているのである。ルーマニアにおいて、ロマは自己申告に基づく国勢調査では50万人だが、出自を隠している人も含めると150万人に達すると言われる。ルーマニアの身分証明書には民族記入欄が無いため、ロマであることを隠し社会に同化する人も少なくない。2002年の調査では、ロマの進学率が極度に低いことが明らかになっており、高卒以上は全体の46.8%に対し、ロマは6.3%、全く教育を受けていない無就学者の割合は、ロマだけで34.3%にも上るのに対し、少数民族を含むルーマニア全体では5.6%にとどまっている。
これらの問題に対してルーマニア政府は、『国内にロマはいないため、ロマに対する差別問題は存在しない』としてロマの存在自体を否定している」
国籍をめぐる問題は歴史的な背景に加えて、現在の政治とも関連するので、たいへんデリケートな問題です。
昨年、行政書士試験のために勉強した「マクリーン事件」が思い起こされます。
「1978年10月4日、最高裁判所は「憲法上、外国人はわが国に入国する自由を保障されている者ではないことは勿論、在留の権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障しているものでもない」「出入国管理令の規定の仕方は法務大臣に一定の期間ごとに当該外国人の在留中の状況、在留の必要性・相当性等を審査して在留の許否を決定させようとする趣旨であり更新事由の有無の判断を法務大臣の裁量に任せ、その裁量を広汎なものとする趣旨である」
在留外国人の扱いは裁量があり、国益第一である、とはっきりうたわれています。
ロマ人の人数が世界で最も多いとされる「ルーマニア」にあっては、そのルーマニア政府が、「ルーマニアにはロマ人なるものはいない」と言い切っていることの難しさを再認識しておきます。教育や福祉など、行政全般で恩恵にあずかっていないことが伺いしれます。
このロマ人は、何波もの機会で、しかもいろいろなルートでヨーロッパ各国に入ってきたようで、ユダヤ人のように単一の言語でないのも理解できます。
国土を持たないながら依って立つ国旗が「世界ロマ人会議」で制定されているということです。「出発点」なのか、インドの国旗に似たものを感じます。