外国人の「戸籍」について

法務省のホームページに、「国際結婚,海外での出生等に関する戸籍Q&A」というページがあります。

その冒頭 Qiestion1に、 「外国人が,日本で婚姻(結婚)したり,子どもを産んだときは,戸籍の届出は必要ですか?」というものがあります。回答は、

Answer1 婚姻届については,届出が必要な場合と必要でない場合があります。出生届については,常に届出が必要です。

1  日本人と外国人又は外国人同士が日本で婚姻しようとするときは,戸籍届出窓口に婚姻の届出をし,両当事者に婚姻の要件が備わっていると認められ,届出が受理されると,有効な婚姻が成立します(以下,このようにして成立する婚姻を「日本方式の婚姻」といいます。)。養子縁組や認知についても同様に,届出が受理されることが必要です。届出が受理されると,日本人については戸籍に記載され,外国人同士の場合には届書が50年間保存されます。

2  外国人が日本にあるその国の大使館又は領事館にその外国の方式により婚姻届出をした場合には,日本の戸籍届出窓口への届出は不要となります。

3  外国人に戸籍はありませんが,日本国内で出産したり,死亡した場合は,戸籍法の適用を受けますので,所在地の市区町村の戸籍届出窓口に,出生の届出又は死亡の届出をしなければなりません。この届出は,10年間保存されます。

4  1及び3の婚姻や出生に関する証明書が必要な場合には,届出人は,出生届の受理証明書又は出生届書の記載事項証明書を,届出をした市区町村の窓口で請求することができます。

と丁寧に書かれています。 それぞれの人生の「イベント」の際に、日本式の場合、かならず、戸籍に記載することが当たり前になっていますが、この第3項にあるように、海外では「当たり前」ではないようです。 現在の日本と同じような戸籍の制度を設けている国は、「中国(中華人民共和国)」と「台湾(中華民国)」の2カ国だけ、韓国も以前は戸籍制度を運用していましたが、今は廃止されているようです。

まず、中国では1958年に戸籍政策「戸口登記条例」を実施。農村から都市への人口移動を制限することを目的に「戸口簿」を設けて国民を「農業戸籍」と「非農業(都市)戸籍」に分類しました。この制度だと、他の都市に転入しても戸籍を取得できないとか医療・保険・就職・福祉・教育・住宅購入などの面で制限を受けるといったことから、深刻な社会的格差の温床になっています。 2016年9月に中国当局は、これまでの二元的管理の戸籍制度を一本化して「住民戸籍」に転換しました。それでも、どの都市や町の戸籍を持っているかで公共サービスに差異があるなどの問題が残っています。 一方、世帯単位の「戸口簿」を補完する身分証制度として、すべての中国公民に終生不変の個人番号として与えられる「公民身分番号」を運用したシステムもあります。日本の「マイナンバー」に相当する制度だと思います。

次に台湾ですが、日本統治下では日本と同様の戸籍制度が運用され、現在は全国的なオンライン管理がされており、どの地域にいても戸籍を取得することができます。 かつて敷かれていた中国本土出身者を優遇するような「外省籍」は李登輝政権時代に廃止され、出生地で戸籍登記をするようになりました。現在は個人の生活実態に即した戸籍にするべく、現実的な身分登録制度へと変わって来ています。14歳になると「国民身分証」の交付を受けて常時携帯が義務付けられ、そこに記載されている統一番号が国民識別番号で、一般的にはこの番号によるIDの方が使われる機会が多くなっています。ここでも「マイナンバー」のような制度が役立っているようです。

韓国は比較的IT化が進んでいるようなので、学ぶべきところなどを少し詳細に整理したいと思います。

また、「マイナンバー」については項を改めて述べていきたいと思います。