入管と不服審査の関係(その3)

入管法(「出入国管理及び難民認定法」)のなかに当初から異議申し立ての仕組みが組み込まれていることを、手続きの種類ごとにみていきます。

1.上陸手続き   入国審査官に対して上陸の申請をして上陸のための審査を受ける場面です。入国審査官は、申請者が上陸のための条件に適合しているかどうか審査するわけですが、 ・感染病の感染者と疑われる者か ・1年以上の懲役または禁錮刑に処されたことがある者か ・麻薬・覚せい剤を所持している者か という「上陸拒否事由」に該当しているかという点と、 ・旅券・査証が有効か ・日本で行おうとする活動が虚偽のものでないか ・申請された在留期間が法務省令に適合するものか という観点での審査を行います。

その際、条件に適合すれば問題ないのですが、条件に適合していないと判断した場合、上記の、 ①上陸審査(入国審査官)に続いて、 ②口頭審理(特別審理官) ③異議の申出(法務大臣)という手続きが用意されています。 さらに、最後の場面で法務大臣が「当該外国人が上陸条件に適合していないとの特別審理官の認定に誤りがない」と認める場面でも、その裁量によって上陸を特別に許可することができるとなっています。(上陸特別許可) 申請の側も、「上陸のための条件に適合していないこと」を認めた場合でも、「上陸特別許可」を求めて、特別審理官の認定に異議を申し出ることもできる制度になっています。

2.在留資格変更手続き、在留資格変更手続き、在留資格の取消手続き  この場面では、特段、異議申出の制度は設けられておりません。ここで認められない場合、在留資格の更新が拒否された場合は、退去強制になるので、次の項目で包絡されるということがいえます。

3.退去強制手続き  退去強制事由に該当する外国人を国外に強制的に退去させる行政手続きですが、 ①違反調査(入国警備官) ②違反審査(入国審査官) ③口頭審理(特別審理官) ④異議の申出(法務大臣) という手続きが用意されていて、最後に、法務大臣が、異議の申出に理由がないと判断した場合、すなわち、退去強制事由に該当する場合でも、その者の在留を特別に許可することができるという制度になっています。 法務省はご丁寧に「在留特別許可に係るガイドライン」というものを公表しています。

「在留特別許可の許否の判断に当たっては,個々の事案ごとに,在留を希望す る理由,家族状況,素行,内外の諸情勢,人道的な配慮の必要性,更には我が 国における不法滞在者に与える影響等,諸般の事情を総合的に勘案して行うこ ととしており,その際,考慮する事項は次のとおり」

次は、この公表されている、在留特別許可の事例をみていきます。