入管問題とは(その8)
来年の東京オリンピックもあり、日本中の様々な業種で人手不足を起こしている状況を解消する方策として、政府は、一挙に、5年間で34万千人の外国人を増やす計画です。それは、「実習生」という名目の低賃金労働者ではなく、一定の学歴・経験を積み、日本語もそこそこ話せて、しかも、国内の企業から日本人並みの給与を得られることが条件の「特定技能」という資格です。これに先行するものとして、平成29年から「介護」に関しては条件に見合う外国人の受け入れが始まっています。
新制度のもとで、国内外で選考が実施されはじめています。5月には外食業の分野で、347人が認定されたとの報道がありました。
一方、建設業における外国人の受け入れ状況は国土交通省のホームページにまとめられています。現状では「技能実習生」の資格で業務についている方が4万6千人に上っています。
東京オリンピック関連の道路や建物の建設需要に対応し、即戦力となる人材が必要となります。それを外食業などがはじめている選考試験だけに依存するのではなく、この実績のある技能実習を経た者など複数のプロセスを用意し、いずれも最終的には、国土交通省が建設特定技能受入計画の認定を行うという運用になります。
そのため、「登録支援機関」は、全分野共通の新たな仕組みですが、建設業に関しては、並行して、「建設技能人材機構」という建設分野独自の機関を設けることになりました。
全分野共通の「登録支援機関」では外国人に対して、入国前の生活ガイダンスや空港への出迎え、住宅確保など様々な側面をサポートする役割なのに対して、建設分野のほうは、就職・転職に重点を置いたすっきりしたものになっています。その他のサポートは受け入れ企業がカバーすることになると考えられます。 建設業はこれまでに外国人の雇用に関して問題がなかったとはいえない部分もあったことの反省も踏まえて、この建設技能人材機構では「外国人受入れに係る行動規範」を設けて、業界全体として安定的に人材を確保できる枠組みを築こうとしています。
他の業種では幅広い役割が期待されている「登録支援機関」に登録し生活面全般をサポートする、という方向を志向している行政書士の方もいらっしゃるようですが、建設業に関しては、業界全体としての体制整備が進んでおります。役割分担を踏まえ、本来の業務である、在留資格に係る取次申請業務に特化するということで受け入れ企業ともwin-winな関係が構築できるものと思われます。