入管問題とは(その6)

入管法が改正になったことは新聞やテレビのニュースで報道されておりますので、多くの方がご存知だと思います。 目玉は、「特定技能」(1号、2号)の制度導入です。 「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」と定義されています。 技能系の労働者ですが、従来の「実習生」とは異なり、「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する」というところがポイントだと思います。 ひとえに、深刻な労働力不足が叫ばれている、介護、建設業、農業、外食業などの14の職種に、今後5年間で、約35万人の外国人を一定の審査を経て導入しようというものです。

一挙に、多数の外国人を受け入れるものですので、採用する企業だけでは手が回らないことが想定されますので、「登録支援機関」というものが設けられました。これです。

すでに、この申請が行われており、6月20日付けの法務省のホームページでは750の団体・個人が登録済みです。たいへんな勢いで、この申請が行われています。やがて、1000を越すのではないかという勢いです。 このような法制度の急変は、行政書士にとっても業務拡大のチャンスではないかと皆さん考えることは同じです。気になるのは過当競争にならないか、という点です。

5年間で35万人というのも大きい数字ですし、登録支援機関の認可が1000件に上るというのもけっこうな数字です。割り算をしてみます。

・特定技能者の年間平均数;35万人÷5年=7万/年

・登録支援機関の平均扱い数;7万人÷1000機関=70件/年・所

すなわち、登録支援機関の扱いは、平均して年間70件ということになります。

なかには、受入れ企業が登録支援機関を介さずに就労に必要な手続きを行う事例もあるものと思いますので、この数字はもう少し低くなるものと思います。 うまく参入できれば、年間70人の特定技能者のお世話ができる、すなわち、数百万円の収入が見込めるということになります。

14業種に先駆けて、外食業の試験が行われ、結果、受験者460人中347人が合格したと5月に発表されています。引き続き、6月下旬にも試験が行われる予定になっていますので、人数の増加傾向をフォローしていきたいと思います。

数万人との対比では少ない人数に見えますが、14業種で一斉に運用が開始され、なかには建設業のように、「技能実習生を」建設キャリアアップシステムに登録し、一定の教育を受けさせることによって人材確保を目指しているところもあります。一発の試験よりも、国が定めた一定水準の技能レベルの教育を施すほうが、大量の人材を即戦力として獲得できるように思います。

制度の枠組みのなかに、価値のある「登録支援機関」として関与できれば、年間数百万円の収入が見込める新たな業務拡大の道だといえそうですが、それぞれの業界のやり方に入り込むことが大事で、極論すると、「入管」業務だけを追いかけていると、本流に乗れないのではないか、ということも懸念します。

次回は、東電の対応を含めて、建設業関係をもう少し詳しくみていきます。