たいへん面白い著作権をめぐる問題
神奈川県行政書士会が行う「著作権相談員養成研修会」に出席してきました。
これも、行政書士が扱う分野だということで、著作権法の基本を詳細に解説していただきました。また、小室哲哉さんの「5億円詐欺事件」などの事案、あるいは、日本音楽著作権協会(JASRAC・ジャスラック)の最近の音楽教室との著作権使用料を巡る問題(「音楽教育の練習」に使用料を徴収できるのか)まで詳しい事例の解説もあり、たいへん面白く勉強になりました。
得たばかりの情報ですが、ポイントになる点を数点ご紹介します。
著作権法は、「著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」という条文から始まります。簡単に書けば、著作者の権利とそれを利用する側の調整を行うための法律と理解しました。
「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」この定義も重要で、「文芸、学術、美術又は音楽」に属さなけらば「著作物」と呼べない、例えば幼児の落書きのようなものは通常、著作物に該当しないわけです。
以下、124条までの条文に、複製(コピー)や無断使用の問題、外国の著作物の扱い、著作権の保護期間など多岐に渡っています。
ひとつだけ、著作権の保護期間は、以前は、原則50年、映画のみ70年だったものが、近年の欧米諸国とのTPPに関する交渉の過程を通じて、「原則70年」ということに統一され、著作権の保護期間が20年延びたということは知っておく必要があります。ただし、法律が変わる前に50年が経過して著作権切れになってしまったものに関しては、「70年」の期間に該当していても保護の対象にはならないとされています。
1943年に出版された、サン=テグジュペリの「星の王子さま」は著作権が切れているところ、それを日本語に翻訳したものは、また新たな「著作物」なので保護期間が切れていないなど、なかなか面白い内容が豊富で、著作権に関しては、また別の機会に書いてみたいと思います。
講習のおしまいに、「効果測定」すなわち理解したかどうかを確認する試験がありました。合否はいずれ行政書士会のホームページに示されるということです。合格すれば、研修会の目的の「著作権相談員」としての「資格カード」がいただけることになっています。そのカードの発行が「9月ころ」と言われ、「今、何月だったっけ?」と一瞬、耳を疑いました。
緊急に著作権をめぐる相談を受けているわけではありませんので実害はありませんが、合否の判定はもう少し早くならないものかと思った次第です。