「高度外国人材」とは
外国人を企業が活用する場面は、「技能実習生」に代表される建設現場などの技能系に限定されたものではありません。「高度外国人材」として、特定のスキルを持った外国人を採用することで日本人以上の特定の技術をもった外国人の雇用を通じてビジネスを有利に展開するということが考えられ、政府もそれを推奨しています。特に、IT(情報技術)分野などでは優れた能力を持つ外国人は即戦力として企業のなかで活躍しそうです。
ところで、現実は、多くの企業が専門性などのスキル以上に「日本語能力」を強く求めることが障害になっているという記事を読みました。
日本語能力検定は、年に2回行われる試験を通じてN1~N5にランク付けされるもので、N1が最も高い日本語能力になります。出題の例示があります。
◆私の主張は単なる「 」ではなく、確たる証拠に基づいている。
⇒選択肢;1模索、2施策、3推測、4推移
文脈のながれから正解は、「3推測」ですが、これは4つの熟語そのものを理解していなければ正解にたどりつけないので、日本人としてもかなり難解なレベルではないかと思われます。別の例題。
◆「いたわる」の使い方として最も良いものを選択する問題です。
①弱い立場の人を「いたわる」のは大切なことです。
②山田さんはこれまでの努力を「いたわって」くれました。
③母は孫が遊びにきたら、いつも「いたわって」くれました。
④政府は国民の生活を「いたわる」べきです。
正解はどれでしょう。④は最近の政治家の発言によく登場する「国民に寄りそう」に近く、案外、正解のようにも感じます。試験での正解は①になっています。
このような微妙なニュアンスを外国人に瞬時に判断させるのはなかなか高度な日本語能力を要求しているように感じます。
そもそも、問題なところは、「米欧では会話力よりも専門性を重視した人材活用が定着している。IT(情報技術)分野などで人手不足が深刻になるなか、企業には成長の担い手を国外からも確保する姿勢が求められる。」という採用にあたる姿勢が必要なところ、「日本は職務内容を限定しない『メンバーシップ型』雇用が中心で、必要なスキルの不明確さが日本語力を過度に重視する一因になっている。」と新聞記事は指摘しています。そうだと思います。「専門性も大事だがまずはコミュニケーション力が必要」という声が聞こえてきます。
長年の日本人だけでやってきた企業文化を少し変えていかなければ、グローバルに生き残れないような世の中になっていることを感じます。
(先週、ある企業の玄関でみかけたものです。今週はお正月風のものに大変身しているのか確認するのが楽しみです)