所有者不明の土地の活用

昨日の新聞で「所有者不明の土地」に関する記事を読みました。「少子高齢化で相続されずに放置される土地は増加が続く。公共事業や地域の再開発の障害となっており、放置すれば経済活動の阻害要因になるとみて、利活用を急ぐ。」というものです。

そのような「相続されずに放置された土地」は、現時点では410万ヘクタールで、すでに九州全土の面積を超えており、さらに成り行きでは、2040年には720万ヘクタールになる見通しで北海道より少し少ないほどのものになると想定されています。

政府が所有者不明の土地の相続人を戸籍などから調べ、登記を促す事業を18年度からはじめています。「長期相続登記等未了土地解消作業」というものです。2021年1月末時点で約5万3000人の相続人が判明したということです。

また、この件に関して民法が改正され、2023年から3点の対策が施行されることになっています。

一つ目は、土地・建物の相続登記の義務化です。「改正によって相続開始から3年以内に登記することを義務付ける。法施行の前に既に相続が発生している場合も基本的に義務化の対象になる。期限内に正当な理由がないのに登記せず、督促にも応じない場合は10万円以下の過料とする。不動産の所有者が住所などを変えた場合も2年以内の登記を義務付け、応じないと5万円以下の過料がかかるようにする方針」となっています。

二つ目は、遺産分割協議に期間を設けること。だらだらとやらないという方針です。「現在は、遺産分割協議には法律上の期限はなく、親の家が老朽化したり立地が不便だったりして子が住まず、売却や賃貸も難しい場合は相続先が決まらないまま放置される場合が目立つ。そこで改正により、相続開始から10年を過ぎると原則として法定相続割合で分けるようにした」というものです。

三つ目は、「土地所有権の国庫帰属制度」の新設です。これには新しい法律によって、相続人が不要と判断した土地を国が引き取る仕組みを作るものです。

それと並行して所有者不明の土地を活用しやすくする法改正を進めると記事は伝えています。「公共目的で利用できる範囲を広げ、新たに小規模な再生可能エネルギー発電所や防災施設も対象に含める」ということです。防災施設は納得ですが、「再生可能エネルギー発電所」イコール太陽光でしょうか。これには、今後、賛否がいろいろありそうです。

(我が家から見た梅雨明けの富士山方面です。夏は湿度が高いので早朝すぐに雲に覆われてしまいます。)