宅建士試験から実務的な改正民法の事例③

約120年間ほとんど変わってこなかった「民法」の大改正がありました。契宅建士の試験問題にも多くの民法改正の内容に関連する質問が出されました。契約関係や相続についてです。そのあたりを勉強していたおかげで、試験では役に立ちました。

正面から試験の解説をしたいわけではありませんが、実務面で役に立ちそうな点を拾ってみたいと思います。50問中14問が民法関係の問題を4回のシリーズで振り返ります。本日は、その3回目。

問8は、相続に関して、誤っているものを選ぶ4択です。
①相続回復の請求権は、相続権を侵害されたことを知った時から5年間行使しないときは時効によって消滅する
②被相続人の子が相続開始以前に死亡したときは、その子が代襲して相続人になるが、さらに代襲者も死亡していた時は、代襲者の子が相続人になることはない
③相続人になる子及び代襲相続人がおらず、その親が相続人となる場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人になることはない
④被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合であっても、相続開始前にい兄弟姉妹及びその子が死亡していたときには、兄弟姉妹の孫が相続人になることはない

⇒誤っているのは②です。孫が代襲相続人になることもあります。一方で④は正しい。兄弟姉妹の孫は相続人になりません。子までです。

問9は、売買契約と負担付き贈与の比較です。売買と負担付き贈与の場合で、対象物に不具合があった場合の責任を問う問題です。「負担付き贈与」とは一定の条件を負わせて贈与することです。家をあげるかわりに一定のローンを負担させるようなケースです。負担付き贈与の場合もその負担の限度において譲渡者は売主と同じく担保責任を負うという正解を選ばせる問題でした。

問10は、時効に関する問題です。占有開始時に善意・無過失であれば、たとえその後に悪意となったとしても、占有開始時から10年間の占有によって、所有権を取得できるという内容です。はじめは自分の土地だと信じてそこに住み、数年経ったのちに他人の土地だったということがわかっても、10年間住み続ければ自分の土地になるというものです。基本中の基本でした。

(スタジオジブリの公開されている画像のうち「平成狸合戦ぽんぽこ」からいただきました。本文とは関係ありません)