「技能実習3号」と「特定技能」について
ちょっとお問い合わせがあったため改めて調べたことについてです。「技能実習3号」はどうなっているの?という件です。ついでに「特定技能」に関しても。
高度経済成長の時代に作られた多くの社会インフラの老朽化と、昨今の多発する自然災害に対処するために、建設業が将来にわたって発展することが求められています。ネックになるのは人材だと思います。足りない人手を補うために、外国人技能実習生が増加してきました。
「技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設された制度です。」
これが、技能実習生の制度の位置づけです。あくまで、数年間、日本で得た経験を出身国に持ち帰る前提です。
・技能実習1号;1年目
・技能実習2号;2・3年目
職種によっては、「技能実習3号」の制度があるものがあります。その場合、いったん、1か月程度帰国し、その期間に、在留資格変更申請を行います。それが認められれば、
・技能実習3号;4・5年目
ということになります。
ただし、「技能実習3号」の職種は限られています。建設業を例にとれば、1・2号までは、「22職種33作業」があるなかで、3号があるのは、
・内外装板金作業
・築炉作業
の二つに限定されています。以下のような作業のことです。
・内外装板金作業;建築物の内装(内壁、天井等)、外装(外壁、屋根、雨どい等)に係る金属製内外装材を加工し、取り付ける現場施工作業をいう。
・築炉作業;炉(鉄鉱石から鉄を作り出す溶鉱炉)を安定稼動させるため、炉の内面に、最新の施工技術を用いて、高度の品質管理により耐火物を施工する作業をいう。
したがって、土木関係などは、技能実習2号まで、すなわち、最大3年で人材が入れ替わることになります。
あくまで、技能実習の制度は「国際技能移転、国際協力」という前提ですので、せっかく技能を身に着けても帰国することが前提になっているものです。
それに対して、昨年設けられた「特定技能」の制度は、「日本の人手不足解消」を正面から歌ったものです。日本人を雇用する場合と同一の給与を支給することや労働法関係に関しても日本人の場合と同様のものを適用することが義務付けられています。さらに、この制度では、「特定技能2号」になれば、在留期間の制限がなくなることや家族帯同も可能となっています。
では、どんどん、「特定技能」に移行するかといえば、両方の制度が残っていますので、2~3年のサイクルで人材が入れ替わっても、安い給料で人材を確保できる「技能実習」がなくならないというのが実情のようです。
長期化する新型コロナウィルスの影響で、諸外国との人材交流も制限されています。この後、このような外国頼みだった制度がどういう影響を受けるのかフォローしていきたいと考えています。
(今回もジブリからいただきました。本文とは関係ありません。「風立ちぬ」から)