自筆証書遺言保管制度のトライアル②
自分で手書きした遺言(自筆証書遺言)を法務局が保管してくれる制度がスタートしています。トライアルとして、近隣の法務局である「横浜地方法務局の川崎支局」にwebから予約をしました。私自身の自筆証書遺言を保管してもらうものです。かなり、予約が埋まっていた関係で、8月20日(木)に決まりました。
「トライアル」とはいえ、正式なものですので、いろいろ、うわべだけの知識だったものを実地に移していくことになります。
登録すべき「遺言」の文章そのものの「ひな形」は、法務省のweb上にもあります。さらに、いろいろ検索していきますと、多数の「エンディングノートのおすすめ」が目につきます。本日は、それについて一言、書きたいと思います。
これまで、遺言を書くということを思いもつかなかった方々を対象に、「動機付け」という意味合いから、「終活セミナー」なども催されています。その際にも「エンディングノートをご自身で書いてみる」という演出のツールに活用されることと思います。
「エンディングノート」の目的は、「亡くなった後の希望を書き残し、残された方が困らないようにする」という点だと思います。その一環に、遺言に書くべき内容も含まれているものですが、「エンディングノート」のほうはなかなか内容が盛りだくさんです。出版社や作成者によって形式もいろいろで、パソコンから入力できるものもあるようですが、概ね、
・自身の人生を振り返り、残りの人生のあり方を考える
・要介護になったときにどういう点まで希望するか書いておくことによって、家族や親族の負担を減らす
・葬儀や埋葬方法についての希望を書く
など、多方面にわたっています。
そのような「残りの人生をどう生きたいか」という内容は、「介護」という観点で重要な項目だと思うのですが、それはそれで悩ましい問題で、その点と、「財産の処理」の問題を一緒に書かねばならないとすると、余計に、面倒なことになってしまうような気がします。
法務局に保管してもらう「自筆証書遺言」に話を戻しますと、必要な記載内容は、
①財産にはどういうものがあるか、
②それを誰に相続させたいか、
という点に尽きます。ある意味、無味乾燥です。
しかし、遺言があるとないとでは、相続開始になったときの処理が格段に違ってきます。そういう観点で、既存の「エンディングノート」は、はたして、「遺言を書く」という風潮を促進するという観点から、良いことなのかどうか、少し疑問を持ちました。
問1;あなたの財産は(不動産の有無、預貯金の種類)?
問2;法定相続人を確認し誰に何を相続させたいですか?
これだけに絞ったほうが、書くほうは「気楽」のような気がします。
法務局に保管してもらった「自筆証書遺言」自体も、先々、状況が変化した場合、書き換えることもできるということなので、「気楽におこなえる」ものとしておすすめしていくつもりです。さらに、私には縁がないですが、「不動産の空き家問題」などの防止、減少に向かうことを期待したいと思います。
(写真は、nanairo125さんによる「写真AC」からいただきました)