新型コロナウィルスで影響をうける事業者への支援の内容
新型コロナウィルスの影響は、感染拡大に伴う医療・福祉の面だけではなく、各産業への影響が出ています。政府は、3月10日にも第2弾の緊急対策を打ち出すとしていますが、現時点で経済産業省が主に中小企業・小規模事業者に向けた施策の内容をまとめておきました。
大別すると「経営相談窓口の開設」からはじまり、「1.資金繰り支援」、「2.設備投資・販路開拓支援」、「3.経営環境の整備」で構成されています。
1.資金繰り支援
①セーフティネット保証;経営の安定に支障が生じている中小企業者を、一般保証(最大2.8億円)とは別枠の保証の対象とする資金繰り支援制度です。具体的には、
・セーフティネット保証4号;幅広い業種で影響が生じている地域について、一般枠とは別枠で借入債務の100%を保証。(売上高が前年同月比▲20%以上減少等の場合)
⇒3月2日(月)に全都道府県を指定
・セーフティネット保証5号;特に重大な影響が生じている業種について、一般枠とは別枠で借入債務の80%を保証。(売上高が前年同月比▲5%以上減少等の場合)
⇒3月6日(金)に宿泊業、飲食業など40業種を対象に指定
「指定された40業種」とは、惣菜製造業、飲食業、旅館・ホテル、喫茶店、リラクゼーション業、旅行業者、劇場、劇団、演芸・スポーツ興行、フィットネスクラブ、遊園地、学習塾、など、外出や集団で集まることを控えた結果、売り上げに影響が生じる業種がカバーされています。
②衛生環境激変対策特別貸付;感染症または食中毒の発生による衛生環境の著しい変化に起因して、一時的な業況悪化から衛生水準の維持向上に著しい支障を来している生活衛生関係営業者の経営の安定を図るための特別貸付制度。
具体的には、新型コロナウィルス感染症が出たライブハウスのように、閉店して徹底的に消毒をしなけらばならなくなった施設などを指すものと思われます。
⇒融資限度額;別枠1,000万円(旅館業は別枠3,000万円)
2.設備投資・販路開拓支援
具体的には、以下のような従来から施行されている補助金事業が対象です。
①ものづくり・商業・サービス補助金
②持続化補助金
③IT導入補助金
の採択審査において、今般の感染症の影響を受けながらも生産性向上に取り組む事業者に対して加点措置を講じるというものです。
3.経営環境の整備
新型コロナウイルス感染症により影響を受ける下請等中小企業への取引上のしわ寄せ防止のため、業界団体等を通じて、親事業者に配慮を求める要請文を発出するなど、金銭面だけではなく、窮地に陥りがちな事業者を緩和するための対策です。
①下請取引配慮要請
②官公需における配慮要請
③雇用調整助成金の特例措置
④小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援
⑤テレワークに関する情報提供
⑥テレワーク導入にご活用いただける支援策
⑦現地進出企業・現地情報及びジェトロ相談窓口
⑧輸出入手続きの緩和等について
感染防止の取り組みによって生じる経済活動の停滞を少しでも低減するための措置ですが、すでに影響が生じている事業者も全国に及んでいます。通常のインフルエンザ・ウィルスは夏にはおさまるのに対して、今回の新型コロナウィルスは楽観できないとの見方もあるようで、影響が長期化すれば、さらなる対策が求められるものと思われます。
(写真は、さくら✿さんによる「写真AC」からいただきました)