行政書士の「著作権相談員」とは
「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。」というのが行政書士の役割です。著作権に関する登録手続きなども行政書士の業務に該当します。
先日、講義を受けたばかりですが、同じ「知的財産権」のものでも、「特許」と「著作権」は大きな違いがあります。
まず、扱う官庁が異なり、また、専門の士業が違ってきます。
・特許権;特許庁が管轄。登録は弁理士の業務。
・著作権;文化庁が管轄。登録は行政書士の業務。
また、「特許権」は、発明した内容を所定の手続きで登録してはじめて有効になりますが、一方の「著作権」は、創作した時点で(登録する前から)権利があります。
著作権は幅が広く、以下のようなものが対象です。
(1)小説、脚本、論文、講演そのほかの言語の著作物
(2)音楽の著作物
(3)舞踊または無言劇の著作物
(4)絵画、版画、彫刻そのほかの美術の著作物
(5)建築の著作物
(6)地図または学術的な図面、図表、模型そのほかの図形の著作物
(7)写真の著作物
(8)映画の著作物
(9)プログラムの著作物
「特許権と異なり、登録する前から著作権がある」ということならば、文化庁に登録する意味合いは何なのか、という点に疑問を持たれる方もおられることと思います。この点に関しては、文化庁のホームページに解説があります。
「著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し,その取得のためになんら手続を必要としません。ここが,登録することによって権利の発生する特許権や実用新案権などの工業所有権と異なる点です。著作権法上の登録制度は,権利取得のためのものではありません。また,登録は著作権の移転の要件ではなく,登録をしなくても移転の効力は有効に生じます。
では,なぜ登録制度があるのでしょうか。
それは,著作権関係の法律事実を公示するとか,あるいは著作権が移転した場合の取引の安全を確保するなどのためです。そして,登録の結果,法律上一定の効果が生じることになります。」
一言でいえば、「権利取得のためではなく、取引の安全を確保するためである」ということになります。あるいは、登録しなくても権利が主張できるということを知っておいていただきたいと思います。
したがって、弁理士の扱う「特許」と異なり、「著作権」の登録だけを専業としても、それほど頻繁に依頼は来ないものと思います。なにしろ「登録しなくても権利が主張できる」というものなので。事業継承などの相談とセットで、この著作権をめぐる質問・疑問に対応することが「著作権相談員」の役割と認識しています。なにかありましたら、ぜひ、お声をかけていただきたいと思います。
(今回の写真は、cheetahさんによる「写真AC」からいただきました )