2040年を見据えて;介護保険などの社会保障はどうなるのか

今年、2020年は、終戦の年、すなわち、1945年生まれの方が、75歳になります。団塊の世代は、そこから始まり、2025年に団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になります。社会福祉の費用それに伴って増加するものと思います。

最初の図で、年々、社会保証関係費が増え続けることに伴い、「▲1200億円」などと、グラフの上に注記がありますように、「制度の改正」によって、支出の削減を図っていることがわかります。ただし、確実に費用は増えています。そのわけは、「網掛け」で表示されておりますが、「制度改正」で年々費用を圧縮しているのにかかわらず、高齢者の増加によって、実質的な費用は「年間+0.5兆円」すなわち、5千万円ずつ増加しているのがわかります。

問題は、横軸です。この図は、将来のことではなく、平成24年から平成31年までのものです。すなわち、過去のトレンドです。これから、さらに団塊の世代が後期高齢者になっていくことを考えるとたいへんな事態です。

ところが、2040年までの政府の見通しをみますと、たしかに、社会保障の費用は増加傾向にありますが、破綻するようなことはないようです。二つ目の図で左半分は過去、右半分は将来を示しています。
からくりは、団塊の世代(1950年生まれ)の方はすでに2015年に65歳以上になっており、その影響を含んだ社会福祉費はここ数年の施策で成り立っているということが見えてきます。

これからも、費用圧縮の施策が打たれるものと思いますが、制度存亡の危機というような言葉は政府から出てきませんし、2040年を見据えても、現行制度の延長で社会福祉の恩恵を享受できるようです。

このような政府の予想が、甘い前提に基づいたものではなく、確かな見通しであることを願いたいと思います。