官営施設⇒官製民営;指定管理者制度⇒破綻した事例

「指定管理者制度」というものがあります。

地方自治法の一部改正で2003年6月13日公布、同年9月2日に施行されたもので、小泉内閣発足後の日本において急速に進行した「公営組織の法人化・民営化」(いわゆる「公設民営」)の一環で取り入れられた制度です。
様々な施設の運営を市役所の職員の方など、あくまで官営で行っていると無駄が多いので、それを民間に委託するものです。福祉施設や公園、廃棄物焼却施設など、さかんにこの方式が取り入れられました。
無駄のない運営がなされ、効果をあげているところばかりかと思いきや、最近、それも立ち行かなくなった施設があるという記事を目にしました。

https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/434167/102300122/?P=1

「『ゆうパークおごせ』は、バブル経済で真っ只中の1995年に開業。約5万m2の広大な町有地に、温浴施設、キャンプ場、バーベキュー場を整備。30億円以上の事業費をかけて整備した林間の行楽地で、町外からも大勢の観光客を集めた。当初は第三セクター方式で越生町も出資する株式会社ゆうパークが運営。開業から5年間は、年間15万人の入館者を集めていたが、近隣に温泉施設が建設されると、温泉ではなく沸かし湯だったことも弱みとなって、その勢いを失っていった。」という経緯をたどったものです。

問題がどこにあるかといえば、「指定管理では、老朽化した施設の修繕も越生町の負担となるが、ゆうパークの空調設備や温浴施設など、大規模改修は行わず、壊れたものを修繕してきたのが実情。どうしても行政はイニシャルコストは準備できても、ランニングコストがなかなかかけられない」ということのようです。所有者及び管理責任があくまで「町」にある以上、思い切ったリニューアルもできない状況になってしまった事例です。

なるほど。「官から民へ!」というスローガンは小泉内閣の頃、よく聞いたものですが、「指定管理者制度」では、建物自体は「官」のもので運営のみ民間に委託するわけですから、根本的なリニューアルが必要な状況でも、それができない仕組みになってしまうということがわかりました。