外国人労働者や留学生が日本で死亡した場合
どんどん外国人の各種滞在資格での在住者が増えてきています。 今は、まだまれなケースですが、皆さんのまわりでも、在留している外国人労働者や留学生の方が病気や事故で死亡するという状況に遭遇することがあるかもしれません。 在留資格の取得などのお世話をしたことがある方の場合、行政書士として、何らかのお手伝いになるものと思います。 ①日本での手続き、②火葬していいのか、③ご遺体を母国に輸送する場合 この3つについて概略整理しておきます。
1.日本での手続き 外国人労働者や留学生も、日本に住んでいる場合は、死亡届の提出が義務付けられています。 ・死亡届の提出先;住民登録している自治体の役所(市役所など) ・その際、在留カードも返却する義務
こちらの手続きはここまでです。 ⇒「死亡届」は、地方自治体から法務局に連絡が行く ⇒法務局は外務省の該当部署に連絡をし、母国の領事館等に死亡通知が届く という流れになっています。後工程は役所内で行われることを知っていれば、慌てないで済みます。
2.火葬していいのか 日本の場合、宗教を問わず99%以上の方が火葬されます。外国では、それは当たり前ではありません。宗教の問題もあります。 ご遺族が「火葬」にこだわりをもっていなければ、日本で火葬することも可能です。 ただし、後日、それぞれの国に提出が必要な書類がありますので、事情に詳しい葬儀社などと相談して、事前にしっかりと調べて、きちんと手続きを踏む必要があります。 ・英語の死亡診断書が求められる国 ・火葬証明書の提出が必要な国 など
3.遺体を母国に輸送する場合 「宗教上の理由で、どうしても火葬はできない」 「祖国で待っている家族にもお別れを言わせたい」 などの場合、ご遺体を飛行機に乗せて輸送する必要があります。その際「エンバーミング」と呼ばれる、防腐や殺菌処理を行いご遺体を保ち続ける処置が必要になります。けっこうな費用がかかります。
輸送に付随する、爆発物検査、届出代行、エンバーミング、空輸用棺、梱包など一式。 このような海外にご遺体を輸送することを受け付けている葬儀社のサイトを調べると、 ・中国・台湾・韓国⇒90万円以上 ・東南アジア(インドネシア・フィリピン・ベトナム・シンガポール・マレーシア) ⇒90万円以上 ・北米(アメリカ・カナダ)⇒120万円 ・EU(ドイツ、フランス、イギリス)⇒100万円 ・中近東(トルコ、イスラエル)⇒110万円
などとなっています。
それぞれの事情をよくお伺いして、間違いのない手続きが必要かと思います。
ところで、8月20日から22日まで、東京ビッグサイトで、「エンディング産業展」というイベントが開催されています。参考になる情報があるかもしれませんので、行ってみようと思います。